マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート

HAPPENINGText: Alma Reyes


ルー・ヤン(陸揚)《独生独死̶自我》2022年、ビデオ

宗教的な世界観もこれまでデジタル技術によって解釈されてきた。中国出身のルー・ヤン(陸揚)は、自身のアバターが仏教の精神世界の次元を旅し、人間の身体、精神、アイデンティティを考察するビデオ《独生独死̶自我》(2022年)を披露している。このコンセプトは、「人は一人で生まれ、一人で死ぬ」を意味する大乗仏教の言葉「独生独死」を着想源としている。近年では2022年のヴェネチア・ビエンナーレに参加のほか、2019年にはBMWアート・ジャーニー、2022年にはドイツ銀行アーティスト・オブ・ザ・イヤーを受賞している。


ジャコルビー・サッターホワイト《メッター・プレイヤー(慈悲の瞑想)》2023年、4チャンネル・ビデオ・インスタレーション Courtesy: Mitchell-Innes & Nash, New York

深い青の大部屋では、振付、アニメーション、コンピューターで作られた万華鏡を組み合わせた広大なビデオが展開されている。コロンビア出身のジャコルビー・サッターホワイトは、《メッター・プレイヤー(慈悲の瞑想)》(2023年)で、宗教的な場におけるフォーマルな芸術、ゲーム、マントラ、ダンスを両立することを扇動しており、宗教にインスパイアされたこの作品は、仏教のメッタの祈りやルネサンス絵画のフォーマルなメッセージと呼応している。アフロフューチャリズムやアフリカ系アメリカ人の解放された未来の理想像も垣間見ることができる。多次元的な想像力の海に巻き込まれた気分に浸ることができる作品だ。


アニカ・イ《Wñ†§ñ0§R§》2024年、アクリル絵具、UV印刷 Courtesy: Gladstone Gallery © Anicka Yi / ARS, New York / JASPAR, Tokyo, 2024 G3616

また韓国出身のアニカ・イによる《ラジアル・センセーション》(2023年)は、天井から吊るされた興味深い彫刻作品で、実際の放散虫(鉱物の骨格を生成する古代の単細胞海洋生物)が不気味に回旋運動をしている。この印象的な作品は、生物学的な生命の原理を象徴しており、イはそれをテクノロジーとの融合によってさらに発展させている。それに伴い、《Wñ†§ñ0§R§》(2024年)や《Öñ0K×ñ£0K×ñ》(「Kñ†M£M [量子泡]」シリーズより、2024年)といった“アルゴリズミック”な絵画が、アーティストの長年の実験研究に捧げられている。

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