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ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合 1930-1965

HAPPENINGText: Alma Reyes

ル・コルビュジエは、絵画を立体化した建築や彫刻を「視覚的反響」を伴う「音響」として捉え、それらを「音響的形態」と呼んだ。木彫作品は家具職人のジョセフ・サヴィナとの協働から生まれたもので、《手》(1952年)では、キュビスムで様式化された複数の形が、動きや感情を暗示する滑らかな曲線やさまざまな角度を露わにしている。ル・コルビュジエは、彫刻が音を発し、訪れる人の耳を誘うと信じていた。


ル・コルビュジエ《手》1957年、森稔コレクション蔵 Photo: Yasunari Shimoda

ユネスコの世界文化遺産に指定されたフランスのロンシャンにあるロンシャンの礼拝堂(1955年)は、彼の最も象徴的な建築のひとつであり、「音響的建築」のコンセプトを体現している。3つの光の塔が自然光を内部に取り込む。床は土地の輪郭に従って祭壇に向かって傾斜している。マリア像は野外ミサに対応するために外側に向けられ、司祭の声が壁を通して振動するようになっている。その結果、外部環境からエネルギーが内部に引き込まれる。


ル・コルビュジエ《ロンシャンの礼拝堂(フランス、ロンシャン)南西からの眺め》1950-55年  Photo: Yasunari Shimoda

その他、同じく重要文化財・世界文化遺産の国立西洋美術館(東京、1957-59年)、サヴォワ邸(フランス、1928-31年)、そして、ショーダン邸(インド、1951-56年)、ブリュッセル万国博覧会のフィリップス・パビリオン(1957-58年)など、優れた建築プロジェクトが写真や図面で紹介されている。


ル・コルビュジエ《ショーダン邸(インド、アーメダバード)南西側ファサードのディテール》1955年、大成建設株式会社蔵 Photo: Lucien Hervé

展覧会の最後には、ブリュッセル万国博覧会のフィリップス館のために制作された《電子の詩》(1958年)のビデオ・インスタレーションを鑑賞することができる。撮影監督のフィリップ・アゴスティーニ、デザイナーのジャン・プティ、作曲家のエドガー・ヴァレーズとともに、ル・コルビュジエは当時の最新技術を駆使し、建築、音響、色彩、映像を融合させ、人類の発展をテーマとした作品で、投影された映像、色とりどりの光、抽象的な形が壁面を飛び交う、彼の芸術の総合性を最も先鋭的に実現した、マルチメディア芸術の先駆けともいえるだろう。

ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合 1930-1965
会期:2025年1月11日(土)〜3月23日(日)
開館時間:10:00〜18:00(※2月7日、3月7日・14日・21日・22日は20:00まで)
休館日:水曜日(ただし3月19日は開館)
*土曜日・日曜日・祝日は日時指定予約(平日は予約不要)
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://panasonic.co.jp/ew/museum/

Text: Alma Reyes
Translation: Saya Regalado

*本展は、ル・コルビュジエ財団の協力のもと開催されます

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