東京駅周辺エリアでも注目に値する展示が行われていた。有楽町駅〜新橋駅間の300mの高架下空間に誕生した、日比谷OKUROJI（オクロジ）で空間を活かした様々な作品を見ることができた。日比谷OKUROJIは、100年の歴史を持つ明治生まれの煉瓦アーチを生かした高架下空間で、飲食店を中心に雑貨店などが軒を並べている。

CYUON × 小川直人（乃村工藝社）「scape fold」（日比谷OKUROJI）© Nacása & Partners

広島県福山市で活動する粉体塗装の可能性を追求したブランド「CYUON（キュオン）」と乃村工藝社の小川直人によるコラボレーションで、粉体塗装によるグラデーション塗装が美しい椅子の試作品を展開。塗装された一枚の金属板を折り畳んでいくことで色に輪郭を与え、色から生まれた形が家具のようなふるまいをし、景色が人々の居場所になることを目指したという。CYUONは、ファクトリーが自らの技術を用いてアート創りにも挑戦を行いながら表現の幅を広げると共に、多くのアーティストにも新たな表現方法としての選択肢を提供し「粉体塗装」をアートの領域にも広げる活動を行っている。

Straft「NEST」（景色）© KOHEI YAMAMOTO

UNDER 30に選出された、石井珠樹と山上和真によるクラフトユニット、Straft（ストラフト）による「NEST」展が、日本橋兜町の景色で開催。昔から屋根や壁、生活に必要な道具としてだけでなく神事にも用いられるなど、祈りの対象物として敬ってきた稲藁を使った作品を展示。代表作「TORI」は稲作によって形成された日本人の潜在的な自然観を現代に投影することを試みた作品。自然とともに共生していこうとする自然観の中に、現代に必要とされる精神的な豊かさの本質を探る。

「インスピレーションズ・フォー・ザ・ネクスト」（ザ・コンランショップ　丸の内店）© KOHEI YAMAMOTO

日本上陸30周年を迎える、ザ・コンランショップで、「インスピレーションズ・フォー・ザ・ネクスト」展が開催。ライフスタイルショップの先駆けとして、新しい発見のあるアイテムとスタイリングを通し、日々の生活をより豊かに楽しむことを表現し続けてきたザ・コンランショップは、これまでの歴史を振り返りながらも、過去から受け継いでいくもの、新しく更新していくべきものを再確認すべく、4名のデザイナー（熊谷彰博・工藤桃子・藤城成貴・柳澤星良）と、アジア・日本らしい現代的な家具作りを目指し新たな活動を開始した。今回は、新しい商品開発への礎となる、ものづくりの “INSPIRATIONS” を紹介。

天候にも恵まれた秋晴れの中開催された今年のデザイナート トーキョーでは、未来へ向けての価値観や、新しい提案に満ちた意欲的な展示が数多く行われていた。次回の開催はすでに2025年10月31日からの10日間に決定している。早くも来年のイベントが楽しみだ。

DESIGNART TOKYO 2024
会期：2024年10月18日（金）〜10月27日（日）
展示エリア：表参道・外苑前 / 原宿 / 渋谷 /六本木・広尾 / 銀座 / 東京駅周辺
主催：DESIGNART TOKYO 実行委員会
https://designart.jp/designarttokyo2024/