オラファー・エリアソン展:相互に繫がりあう瞬間が協和する周期

HAPPENINGText: Alma Reyes

エリアソンは水彩画においても、色彩現象の研究を続けている。今回展示された、2017年に制作された水彩画《溶けゆく地球》(バナジウム・イエロー)、《あなたのエコーの追跡子》、《私のエコーの痕跡》、《溶けゆく地球》(カドミウム・イエロー、グレー)は、太古の氷河の氷のかけらを使って制作された。絵画の表面に直接置かれた氷片は、顔料を流動させ、抽象的で有機的な膨らみや滲みを生み出しながら徐々に溶けていく。偶然性と自然のプロセスを利用したこれらの水彩画は、自然現象の時間の痕跡を内包している。


オラファー・エリアソン 左から《溶けゆく地球》(バナジウム・イエロー)、《あなたのエコーの追跡子》、《私のエコーの痕跡》、《溶けゆく地球》(カドミウム・イエロー、グレー)2017年, Photo: Alma Reyes

最後に、全長20メートルを超える暗い空間に入る。《瞬間の家》(2010年)では、ストロボ光が地面に流れる水の弧を照らし、空間に一瞬の立体的なドローイングを生み出す。水の曲線を抽象的に解釈することで、新たな幾何学的形態が生まれる。エリアソンは、「瞬間」とは2つの秒の間の空間であると理論化している。私たちは過去と未来のギャップを経験し、その間の空白は静止し、時間が凍結しているように見える。しかし人間は、主体と客体、外部空間と内部空間、重力と反重力への関わり方を変えることができる。


オラファー・エリアソン《瞬間の家》2010年, Courtesy: neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles, Photo: Christian Uchtmann

麻布台ヒルズ森JPタワーのオフィスロビーの頭上に、4つの螺旋状の構造体、エリアソンの《相互に繋がりあう瞬間が協和する周期》が、吊り下げられている。作品は、数学的に計算された菱形、凧形、三角形からなる11面体の幾何学的なモジュールの繰り返しで構成されている。面が奇数であるため、一点の軌跡は、人の動きにおける求心力を強調するかのように、自由にねじれながら移動する。エリアソンは、このインスタレーションで、リサイクル金属を鋳造するという実験的な方法を採用している。

また、麻布台ヒルズガーデンプラザAの低層階にあるカフェレストラン「ザ・キッチン」も見逃せない。インテリアはエリアソン本人とのコラボレーションで、メニューはCO2削減のために考案された。カフェやミュージアムショップには、エリアソン作の天井照明が設置されているので、訪れた際はこちらもお見逃しなく。

オラファー・エリアソン展:相互に繫がりあう瞬間が協和する周期
会期:2023年11月24日(金)〜2024年3月31日(日)
開館時間:10:00〜18:00(火曜日17:00まで、金・土・祝前日20:00まで)
会場:麻布台ヒルズギャラリー
住所:東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階
TEL:03-6402-5460
https://www.azabudai-hills.com

Text: Alma Reyes
Translation: Saya Regalado

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