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リオップ

PEOPLEText: Victor Moreno

ポートレート写真とファッション写真の大きな違い、または特徴は何だと思いますか?

私が思うに、ファッション写真の基本はポートレートです。それは、ファッション写真の歴史を見ても分かることです。しかし、主な違いは、フォーカスです。ファッション写真では、質感や動きのある服を強調したり、メイクや髪型、モデルやスタイリングを通じて、その時のテーマやブランドのキャンペーンが描く人物像を生み出すことが主になります。一方で、ポートレートでは、個性や身長、職業など、被写体や人物をどのように描くかに焦点が当てられます。


「グロドック」シリーズ(2019年)
このイメージは、リオップが父親と一緒にグロドックに行き、ランチを食べ、その後、父親の買い物に付き合わされ、食料品や買い物袋を持ち運ばされながら歩いた時の記憶を再現。


「グロドック」シリーズ(2019年)
グロドックでは、暑い日にはオレンジジュースを飲むのが定番。リオップがグロドックで感じたのは、人々がいつも何かを持ち歩いているということだった。

受賞した作品「グロドック」は、ジャカルタのチャイナタウンを舞台にした素晴らしいストーリーですね。そもそも、この作品で追求したかったのは何ですか?

このシリーズは、私のアイデンティティの追求の一つです。10年以上インドネシアの外で暮らしていたため、自分とインドネシア、特にジャカルタとのつながりを感じることが難しくなっていたんです。インドネシアで育ったにもかかわらず。日本の漫画にハマっていた幼少期の経験や、アメリカで過ごした学生時代の経験から、私自身、西洋の文化に共感することの方が多いのです。しかし、夏休みにジャカルタに戻ったときに、混沌とした中で、両親がいたと言うのもあり、この街が自分の故郷だなと感じたんです。しかし、文化や考え方には違和感がありました。私がジャカルタに戻ってきたのは、両親が「ずっと戻ってきてほしい」と願っていたからです。彼らの視点から物事を見てみようと思ったのです。自分のアイデンティティと繋がるのに何年もかかりました。一生とは言わなくても、いづれ長い間、ジャカルタで過ごすことになるだろうと思っていたので、自分が知っているジャカルタの一部、つまり「グロドック」に再びつながる必要があると思ったのです。


「グロドック」シリーズ(2019年)
この地域には築数百年の家も多く、今でも中国系の人が住んでいる。この写真を撮ったときは、同じ家に3家族が住んでいた。毎日午後になると、家の前に座ってお茶を飲み、近所の人たちと会話をしていた。


「グロドック」シリーズ(2019年)
オランダの植民地時代に受けた苦難と迫害があるにも関わらず、グロドックの中国人は最も友好的な人々である。写真撮影の際には、私たちと楽しそうに話をしたり、質問をしたりしてくれた。緑の服を着た女性は、撮影の途中でモデルの中に入り、一緒に自撮りをしようと誘っていた。

多くの中国人の父親がそうであるように、私の父親も多くのことを隠していましたが、いつも私のことを気にかけてくれているのだなとは感じました。毎週末行ったグロドックへの小旅行を思い出します。今でも彼はグロドックがお気に入りの場所ですが、今回のプロジェクトを通してその理由がわかりました。混沌としているにもかかわらず、子供の頃にグロドックで過ごした思い出は、父親が散歩に誘ってくれたり、お菓子やビデオゲーム、おもちゃを買ってくれたりして、愛情を示してくれた場所だからです。また、それとは別に、ファッション写真業界全体を見たときに、世界の巨匠たちは、自分のいる場所や地元をファッションシーンの背景にしていることがよくあるというの気づいたのです。私がグロドックのプロジェクトを始めたときは、誰もそんなことはしていませんでした。地元の雑誌の多くは、アメリカやヨーロッパの雑誌の真似をしたり、編集の参考にするように言ってきますが、私はその罠から抜け出したいのです。自分たちの文化や町を誇りに思うべきだというのを、率先して示していきたいのです。父が見ていたグロドックを、今だからこそ同じような視点で見れるようになるための手段な気がしています。


「グロドック」シリーズ(2019年)
バスマットやタオルを路上で売っていた商人が、モデルと楽しそうにチェスをしている。彼女の手にはオレンジジュースのグラスがあり、彼と同じようなサンダルを履いている。このシリーズでは、リオップが現地のファッションの断片を切り取って、モデルに着せているのが分かる。

あなたは映像作家でもありますが、静止画から映像へどのように進化していったのかを教えてください。

学生時代は、1枚の写真のみで見せることに不満を感じることがありました。特にフィルムで撮影していた時です。また、自分のイメージがすでにあるのですが、そのイメージは動画で表現したほうが観客に伝わりやすいということもあるのです。

自分の映画作品を見せるために、何かソーシャルメディアを使っていますか?

最近は、インスタグラムとユーチューブを使っています。インスタグラムは、複数の画像をスライドしながら表示できるのが魅力です。通常、私の投稿は20~30枚の画像と動画で構成されています。

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