日野田崇 個展「手と色形楽」
HAPPENINGText: Amelia Ijiri
マンガやコミックを彷彿させる黒く縁取りされたカラフルな図柄で覆われた、有機的かつ複雑な曲線を描く陶の立体作品で知られる日野田崇(ひのだたかし)の個展「手と色形楽」が、2019年12月7日から2020年1月25日にかけて、イムラアートギャラリー京都で開催された。
本展は、明治以降に導入された「美術」という和製訳語に代わる概念として、日野田が発案した造語「手色形楽(しゅしきけいがく)」の概念を体現するもので、現代の日本で濫用される曖昧なカタカナ語の「アート」とも、西洋近代が想定した「Art」とも異なる、物質に具現する色・かたちを通して感覚的な喜びをとらえうる実制作(そこでは「手」や「身体」の介在が重視される)行為として意図されている。
「身体」は世界に在ることの「場所」でもあり、同時に意識や魂の唯一無二の「器」でもあることがこの考え方の基底にある。彼が生みだした奇妙なキャラクターにあるセラミックの目はこちらを見つめているように見え、その存在は粘土の物質性を超越し、ギャラリーの白黒の壁のグラフィックと対比からも、生命が宿っているかのように見える。
1968年生まれの日野田は、現実とアニメや漫画の架空の世界を融合させた世代で育った。彼のポップでコミカルでユーモラスな作品には、現代社会の不安に対する風刺が含まれている。「手と色形楽」展は、オンライン環境で過ごす時間が増えている世界での手作業の重要性を提起するもので、彼の自由な彫刻作品は、国籍、年齢、性差を超えて共鳴し、目と魂を一新し、現実世界の認識に疑問を呈している。
日野田崇 個展「手と色形楽」
会期:2019年12月7日(土)〜2020年1月25日(土)
時間:12:00〜18:00(日・月・祝日休廊)
会場:イムラアートギャラリー京都
住所:京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町31
TEL:075-761-7372
https://www.imuraart.com
Text: Amelia Ijiri
Photos: Kazuo Fukunaga, Courtesy of the artist, Imura Art Gallery