KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2017

HAPPENINGText: Alex Hiroki Coles

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」は京都を舞台に毎年開催される国際的な写真祭。現代的な建物や歴史的建造物まで、今年は市内16カ所で展示を行った。作品展示は、ギャラリーのフォーマットにとらわれず、空間に合わせ工夫されており、最先端のテクノロジーを駆使したものもあり、アーティストにとって、より幅広い人々に作品を見てもらう機会となっている。

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KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2017 Photo: Takuya Oshima

今回のテーマは「LOVE」。愛についての感覚は出身や居住地など、人々のバックグラウンドにより様々だ。しかし、この相違こそが問題を引き起こしうることもある。愛情が憎悪に変化することもあるからだ。そして、そのことで、人間にとって愛がどうして重要で貴重なものなのかを気付かせてくれるかもしれない。写真を通して、展示は世界で人々は繋がっていて、平和な場所であることを示そうとしている。私が見た「Theater of Love」、「The Yokohama Project 1867-2018」、「Falling Leaves」は、中でも写真の多くの異なるフィールドやジャンルにフォーカスしていた。

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ギャラリー素形での展示風景 Photo: Takuya Oshima

ギャラリー素形での「The Yokohama Project 1867-2016」は、ジャダ・リパによるプロジェクト。彼女の家の屋根裏で見つけた二冊の古いアルバムを使用したものだ。これらのアルバム「Native Types」と「View of Japan」は19世紀のイタリア人写真家フェリーチェ・ベアトによるものだ。彼は横浜に店を出していた。裕福な地元の人々に向けて色々な土産用のアルバムを作っていた。彼が撮った明治初期頃の写真は、「横浜写真」の第一波を代表するものとして、期現在では非常に価値の高いものとなっている。数か月後、彼女はまた自分の家で、来日した初代イタリア人大使、マチルド・ルイナート・デ・ラ・トゥールの妻が書いた手書きの文章を発見した。マチルドはリパの祖先であり、フェリーチェ・ベアトとも繋がっていた。このことをきっかけに、リパは今はもう無き横浜のロケーションを巡ってベアトの消息を追うことにした。彼女は何か、昔の人々が見た古き日本の手掛かりを見つけようと街を歩いた。

6.A.YOSHIDA20170414_OSH2953
元・新風館での展示風景 Photo: Takuya Oshima

元・新風館での「Falling Leaves」は、吉田亮人によるシリーズの一つ。宮崎県の、彼の若い従弟と、彼が生まれた時から一緒に住んでいた祖母についての記録だ。祖母と孫の風変わりな関係を写真は描く。二人が一緒に食べたり、手をつないでスーパーに行く風景など。祖母が痴ほう症になったとき、吉田の従弟は介抱者になった。しかし、ある日、彼は消息を絶った。そして1年後、彼の死体が発見された。彼のシリーズは従弟と祖母の温かな関係を写している。シリーズは彼の個人的経験をもとに極めて私的で感動的な作品となっている。

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