ドバイ・アート・ウィーク 2017

HAPPENINGText: Mamiko Kawakami

今年のアート・ドバイも、ドバイを象徴するブルジュ・アル・アラブが背景に映るマディナ・ジュメイラで開催された。

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“Coloured glass panels”, Rana Begums. Courtesy of Photo Solutions

栄誉ある今年のアブラージ賞は、ザ・サード・ラインに所属しロンドンを拠点に活動するバングラディッシュ出身の女性アーティスト、ラナ・ビーガムが受賞。幾何学的に配置された半透明のカラフルなパネルで構成された作品で10万ドルを獲得した。

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“Golden Hour”, from the Series “Desert of Pharan”, 2011, Ahmed Mater, Color photograph, 3500 x 2500 mm. Photo: © Ahmed Mater

サウジアラビアのアーティスト、アフメド・マータルは、自身の写真集「パラン砂漠:語られることのないメッカの歴史」から、展覧会を開催。彼の最新作では、近年メッカ周辺で行われている大規模な再開発で近代化されていく、一般には語られることのない知られざる聖地の姿を浮き彫りにした。

Anila Quayyum Agha, ALHAMBRA NIGHTS
“Alhambra Nights” (Installation), Anila Quayyum Agha, 2016, Printed Acrylic and Bulbs, 762 x 686 x 762 mm (x9). Courtesy of the Artist and Aicon Gallery

アイコン・ギャラリーは、注目すべき南アジアのアーティスト達の作品を展示した。パキスタン出身アーティストのアニラ・カユーム・アガによるインスタレーションでは、天井から吊り下げられた照明が仕込まれた細密な幾何学模様が刻まれたシェードによって美しい光と影で空間を包み込んだ。

そして今年もドバイ・アート・ウィークは中近東地域のアーティストによる斬新なアートに注目を集めるグローバルアートイベントとして大成功し、その幕を閉じた。フェア参加者からは、ニューヨークまたはパリで見るよりもギャラリーの国籍・文化の多様性を見るフェアだったとの声も上がった。

ドバイ・アート・ウィークでは、そんな多様性と枠にとらわれないアイディアから生まれる革新的なアートを堪能できる。それは、極端なナショナリズムや異文化に対する排他的な感情が世界のあちこちで高まってしまっているこの時勢であっても、アートは世界を一つにできるという事を世界中に示しているかのようにも思える。

Dubai Art Week 2017
会期:2017年3月12日(日)〜18日(土)
https://www.artweek.ae

Text: Mamiko Kawakami

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