アイ・シー・ア・ディファレント・ユー

PEOPLEText: Miki Matsumoto

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© KENJI TAKAHASHI

皆さんの作品からは、ポジティブさに対する強い意思と、どんな状況にも存在する、物事の「美しい側面」を掬い取る優しい眼差しを感じます。そんな3人にとって「美」とは一体、何を意味するのでしょう?

I:僕たちにとって、美はあらゆるところに存在している。人々があまり美を見出さない環境、例えばタウンシップ(旧黒人居住区)にも美しさを感じるんだ。2人の子どもがそこにいたとする。一人は裕福な家庭の子ども、もう一人は余り裕福ではない家庭の子ども。貧しい家庭の子どもは、レンガを使って車のおもちゃをつくる。豊かな家庭の子どもは、店で車のおもちゃを買う。でも一般的な基準というものをまだ知らない子ども達だから、それらの車は、彼らにとって等しく価値があるものなんだ。僕自身がレンガを車に見立てて遊んでいた子どもだったけど、それは車を持っている子どもと同じくらい、僕を幸せな気持ちにしてくれた。僕にとっては、それこそが美なんだ。

J:美とは君自身が快適さを感じる中に幸せを見つけること。他の人と同じ評価基準に合わせようとするんじゃなくてね。お金に美を見出す人もいれば、愛やその他の物事に見出す人もいるだろうけど、僕らにとっての美とは、今僕たちを幸せにしてくれるものなんだ。特に物質的なものは必要じゃない。僕のこの考えは、スケートボードに夢中になったり、とにかく走りまわったりしていた小さい頃の記憶にインスパイアされている。荒廃した建物を見ると、遊んだり楽しいことができる場所という印象を受けるんだけど、何が起こるか全く気にせず、一日中ただ遊んでいられるほど、素晴らしいことはない。僕たちが撮影する場所には、そういった種類の美を感じるんだ。

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© KENJI TAKAHASHI

東京の街でも、「美」に出会いましたか?

東京は本当に美しい。とても多くの美に出会ったよ。特に素晴らしいのは、人々が恥ずかしがり屋なことだね。僕らが近づいて「一緒に写真をとってもいいですか?」と聞くと、もしかしたら写真を一緒に撮りたくないかもしれないけど「嫌です」って言えないんだ(笑)。そういった純粋さとか誠実さって、凄く美しいと思う。

日本の皆さんに、メッセージをお願いします。

I:僕たちが行っていることに芸術性を見出し、そして信じてくれる人達に心から感謝している。彼らのサポートがなければ、僕たちはいまここにいなかっただろうし、そういった人達から刺激を受けて、僕たちは作品を作り続けることができる。それは本当に素晴らしい感覚だよ。

J:自分自身に正直であり続けてほしいな。君自身であることが、君がなることのできる一番素晴らしい人だと思う。

I:夢見ることを決してやめないことだね。そして夢は大きく抱くこと。どんなことだって可能なんだから。

*1 「STUDIO AFRICA」はアフリカの創造力を世界中に伝えることを目的とした「DIESEL+EDUN」のグローバルキャンペーン。ファッション、映画、音楽、写真など様々なフィールドでアフリカの発展のために積極的な活動を続ける、才能溢れる9人の若手アーティストを紹介している。なお、「DIESEL+EDUN」とは、DIESELの創始者レンツォ・ロッソ、世界的なロックバンドU2のボノ、そしてボノの妻でありファッションブランドEDUNの設立者アリ・ヒューソンによるコラボレーションプロジェクト。コレクションを通じてアフリカ大陸に持続可能なビジネスモデルを創出するという理念に基づき、アフリカの素晴らしいデザインや創造力を目に見えるかたちで世界へ発信することを目的としている。

*2 1976年に起こった、アパルトヘイト政策時代の大惨禍として知られる出来事。当時の政府による、アフリカーンス語(オランダ系の住民が使う言語)を学校教育に導入するという決定に抗議した若者たちに、軍隊が無差別に発砲したことで多数の犠牲者が出た。この事件はアパルトヘイト政策への大きな国際非難をもたらし、政策撤廃へと国内外が動き始める一端ともなった。

STUDIO AFRICA
会期:2013年3月1日(金)〜5月10日(金)
時間:11:30〜21:00(不定休)
会場:DIESEL ART GALLERY(DIESEL SHIBUYA内)
住所:東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocoti B1F
TEL:03-6427-5955
https://www.diesel.co.jp/art/

Text: Miki Matsumoto

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