トラフ建築設計事務所
PEOPLEText: Noriko Yamakoshi
2月の「TOKYO FRONTLINE 2012」では、出展ギャラリーの一つである「ギャラリー ドゥ ポワソン」とのコラボレーションリングを発表されました。このプロジェクトのいきさつなどをお聞かせ下さい。
僕がオーストラリアのメルボルンにある建築事務所で働いていた時、gallery funakiという、とても素敵なコンテンポラリージュエリーを扱うギャラリーのオーナーの方に、日本にも素敵なギャラリーがあるよと紹介されたのが「ギャラリー ドゥ ポワソン」でした。そんな経緯でギャラリーディレクターの森さんと出会って。
TOKYO FRONTLINE 2012 ギャラリードゥポワソン ブース
元々「gallery funaki」が扱う作品を目にした時には、「こんなに“発想そのもの”を形にしたジュエリーがあるんだ!」という驚きの発見が沢山あって、とても興味を持っていたんですね。日本ではジュエリーって金とかダイヤモンドなどマテリアルそのものの価値でしか語られないのですが、gallery funakiで見た作品は例えば紙でできた作品とかがとても評価され、高く売られていたりしている。とても面白い世界だなと。
今回、森さんから「ウェディングリング」というお題を与えられて、実際、ギャラリーに伺い、扱われている他のウェディングリングなんかも見せて頂きながらその場でスケッチを描いてデザインを決めていきました。
一回の打ち合わせで決めましたね。ずっと着用するものだし、やはり金か銀素材でシンプルがいいなという方向になってきたときに、金と銀両方を備えたリングはどうだろう、という発想が出てきて。
gold wedding ring
最初はシルバーなのですが、使うにつれ下地の金が現れてきます。建築や内装を手がける時にも、使う人の目線や使ううちに段々良くなっていく余白を念頭に設計しますが、この指輪も経年変化で段々傷がついてしまう事が決して嫌なことではなく、むしろ楽しみになっていくような作品にしたかったのです。
それは2人で共有している時間をも感じられるというか。よく着けるひとは早く金になっていったりだとか、外したままの人はずっとシルバーのままだったりとか(笑)面白いなあ、と思って。
gold wedding ring
森さんからは、まず金の上に銀メッキなんてことは普通しないと言われたのですが、そこが面白いかなと。この微妙に2重の色が見えてくる状態を人工的につくろうと思ってもなかなか難しいのです。でも使用する過程を利用したこの方法なら、グラデーションというか、「2つ存在する」ということが簡単に創れるので面白いなと思ったのです。
リングのデザインは2種類あって、変化の仕方も角のある方はエッジの方から傷ついていって、横とか表面は多分長い間シルバーのままじゃないかと思います。
今回、サイズ感に関しても、他のコンテンポラリージュエリーとのバランスの中でどういう主張をしていったらいいのかという視点で森さんにアドバイスを仰ぎました。森さんが知らないこととかスタイルってあまり無いと思ったので、「彼が面白いと思ってくれるデザイン」という括りで作業を進めた部分もあったと思いますね。
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