上海環球金融センター3周年記念イベント「シェル・エコノミクス」「上海ギャラリー・セレクション」

HAPPENINGText: Hiromi Nomoto

「シェル・エコノミクス」は中国で活躍する若手アーティストを集めたアートフェア。このアートフェアの大きな特徴は、お金が使えないことだ。もしお金が使えないとしたら、価値をどう見定めどう表したらいいのだろう。“アートとお金の関係” や “物の価値” を人々に考えさせる。シェル・エコノミクス参加アーティスト 左からシャオ・ジャン、ウー・ディン、ガオ・ミンヤンshanghai_world_financial_center_3rd_anniversary4.jpg

このアートフェアのルールはまず、応募者は自分の気に入った作品を選ぶ。そしてその作品と交換するお金以外のモノ “何か” をカードに記入し投票する。後日アーティストがそれらの “何か” の中から一つ、自分の作品と交換するものを選ぶ。もしアーティストが相応しいものが無いと判断したならば、交換はしない。

参加アーティストは合計16名。それぞれに若いながらもアーティストとしての道を歩む者たち。作品は水彩や油彩、写真から、彫刻、インスタレーション、映像に至るまで多種多様だ。

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「シェル・エコノミクス」展示風景

オープニングに訪れた人々は、談笑しワインを片手に少し酔いながら、シェルエコノミクスの作品を選んだ。通りすがりの人も、説明を受けると興味を持ち真剣に作品を見始めた。ある応募者は『気に入った作品はある。でもそれを何と交換していいのか悩む。』と言う。

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「シェル・エコノミクス」展示風景

2日間という短いイベント期間で多くの人が投票し、200を越える応募があり、中にはこのような面白い回答もあった。「ビッグサイズの貝殻」「アート論文」「自分の時間」「××」「何もあげられないが作品は欲しい」「水族館でのデート」「あなたの為に歌を歌う」「犬」など。それぞれに思い入れのあるもの、もしくはその作品から考えて相応しいと思うものを考えた結果だ。

shanghai_world_financial_center_3rd_anniversary8.jpgフー・シャオシャオとマイケル・ジャクソンが持っている様な帽子との交換成立shanghai_world_financial_center_3rd_anniversary10.jpg
「シェル・エコノミクス」投票カードに記入する人々

それぞれのアーティスト全てに投票があった。マヤ・クレイマーは「12本のバラ」、ガオ・ミンヤン(高銘研)は「言葉」、シャオ・ジャン(肖江)は「コペンハーゲンでの個展」、ジャン・ユンヤオ(張雲垚)は「アート評論」、イエ・リンハン(葉凌瀚)は「iPad2とシークレットギフト」、スイ・チャンジャン(隋長江)は「北京への往復航空券」、ハー・チ(何遅)は「五つ星ホテルでの展示」、ジャン・ルーフア(張楽華)は「アート作品」、スー・チャン(蘇暢)は「上海一の寿司屋で食事」、ザカ(ZAKA)は「メディアのインタビュー」、フー・シャオシャオ(胡筱瀟)は「帽子」などと交換が成立し、計20もの作品が交換された。

アーティストは、自分の作品の価値や参加者の提案した “何か” が一体何であるのかを真剣に考えた。アーティストが必要としているもの、もしくは自身の思考と通じるものを選んでいるようだった。周りからしたらどんなに素晴らしい “何か” でも、交換をしないアーティストもいる。また作品を驚くべきものと交換するアーティストもいた。価値とは人それぞれなのだ。

お金とは人類の最も重要な発明の一つであるが、便利なお金に頼らず自分自身で価値を見定めることは実は大切なことのような気がする。シェル・エコノミクスに参加したことで、アーティストと応募者一人一人が考えたことに同じものは無いかもしれない。しかし今回の試みが面白いものであったことに間違いはないだろう。

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