土田俊介
PEOPLEText: Julie Morikawa
土田俊介は、人工の皮膚やスパンコール布、スポンジといった特徴的な素材を使い、作者、作品、鑑賞者の関係性を摸索する作品を手がける、今注目を集める若手彫刻家だ。第16回五島記念文化賞美術新人賞を受賞した後、アメリカ滞在研修を経た土田氏の記念個展が、横浜と札幌の2会場で開催される。個展「考えても作れないんだけど、考えていないと出会えないモノ。」では、いったいどんな「鑑賞の循環」が生まれるだろうか。
「10-04.1」h111×w136×d76.5cm / ワイヤーメッシュ、羊毛、シリコン、スパンコール布、石膏、木材
これまでの活動内容を含め、自己紹介お願いします。
土田俊介。1973年北海道札幌市生まれ。2004年金沢美術工芸大学博士後期課程修了。現在、明星大学助教。主な個展・グループ展として、2001年「work 01-05」(スカイドア・ギャラリー、東京)、2003年「鎮魂曲&地獄門」(高雄市立美術館、台湾)、2004年「鎮魂曲&地獄門」(苗栗県立木彫博物館、台湾)、「遊具連関vol.3」(金沢市民芸術村、金沢)、2008年「第三の途」(KAPO、金沢)、2009年「土田俊介個展」(CAI02、札幌)、2010年「五島記念文化財団 20周年記念展 美の潮流」(Bunkamura ザ・ミュージアム、東京)、「アートプログラム青梅2010 8th 循環の体展」(青梅織物工業協同組合施設、東京)など。その他に2005年五島記念文化財団美術新人賞受賞など受賞多数。
彫刻家になろうと思ったきっかけを教えてください。
あまりドラマチックじゃないので恥ずかしいのですが、高校生の時、雑誌でウォルフガング・ライプの作品を観て、「こんなことしたい!」と思ったのがきっかけです。
「10-02」 h140×w100×d115cm / ワイヤーメッシュ、針金、羊毛、シリコン、石膏、木材
2005年、五島記念文化賞の新人賞受賞を機に、アメリカに滞在し研究を行われたそうですね。どのような体験をなさったのか教えて頂けますか?
1年ほどニューヨークに住んでいましたので、チェルシーのギャラリー街、P.S.1コンテンポラリーアートセンターやディア・ビーコンなどによく行っては、多くの作品を観ました。コンサートにクラシックバレー、メトロポリタン・ミュージアムやアメリカ自然史博物館などにもよく行きましたね。ゲイリー・ヒュームの作品からTレックスまで色々なものを観た1年でした。あんな1年はきっともう無いと思います。
時にはニューヨークを離れて旅行に行ったりもしました。ナイアガラやグランドキャニオンなどにも行きました。それまではナイアガラの滝は人里離れた自然の中にあると思っていたのですが、行ってみると滝のすぐ横はカジノホテルが何軒も立ち並んでいて、滝も夜には七色でライトアップされて…なんかそれが面白かった。それまでも僕らが目にしている情報は、誰かが加工した、誰かの思いが入り込んだものだと分かってはいましたが、何だか笑っちゃいました。同じようなことでは、グランドキャニオンにマクドナルドがあったり。
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