ストックホルム・デザイン・ウィーク2010
家具とインテリア・デザインの多様性で知られる北欧デザインの今。
ヴァーナー・パントンからアルヴァ・アアルトなど、前世紀に大きな影響を及ぼしたアーティストの多くは、北欧出身者だ。クリエイティブ集団のNKグループは、1920年代から1940年代に絶大な影響力を持ち続けた。
現在、これだけのIKEA人気にもかかわらず、国際舞台のトップに名を馳せるほど北欧人の名前はさほど多くないが、北欧デザインは、世界的にも良いポジションにあるといえる。スウェーデンは、北欧史のなかでも、個人の自立性を高めることを目指してきた中心地である。ファインアートの多くのアカデミーや、デザインスクールが、北欧の伝統的な専門知識を維持継続している。
ミラノで行われる「コスミット」は、ヨーロッパや世界各地にとって重要な家具見本市であるが、ストックホルム家具フェアも、最近では国際的フェアとして知られる、世界最大の北欧デザインの展示会である。
ストックホルム・デザイン・ウィークは2月8日から14日の間に開催された。幾つかのイベントや展示会がストックホルム市内の会場で行われ、フェアのパビリオンで行われたストックホルム家具市とノーザン・ライト・フェアがその中でも注目の的であった。北欧のように極端な陽光状況の地域にとっては、照明は重要な課題である。偏在する暗闇と素晴らしいオーロラが共存するため、照明に関して考え、実験を行い、アイディアを生み出すことに対しては、真剣そのものだ。
デザイン・ウィークの間、750の出展者と40,000人近くの来場者が、ストックホルム郊外のアルヴショーを訪れた。出展者のなかには、北欧の大物家具プロデューサーやデザイナーのほかに、新進の個人デザイナーや、北欧やバルト諸国のデザイン・建築関連の学校が参加した。現地で経験することができた多数の展示会から、目に留まった作品を幾つかここで紹介する。
マスプロダクションズは、ストックホルムを拠点に活躍するマグナス・エレバッハとクリス・マーティン率いる家具カンパニー。昨年、彼らの椅子「Tio」が、スウェーデン建築家連盟から「ゴールデン・チェア・アワード」を授賞され、脚光を浴びた。ストックホルム家具フェアで展示された彼らの最新プロジェクトである木製のスマートな椅子「the Waiter」は、レストランや自宅で食事をするためにデザインされたもの。『椅子を新たな観点から捉えることにしました。ウェイターは、椅子の周りでいつも働いているので、彼らが評価できる商品があるべきだと考えました。』と、デザイナーのクリス・マーティンは語る。
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