フォン・シャオガン
フォン・シャオガン(馮小剛)の新作「唐山大地震」が7月22日から中国本土と香港で同時に公開となった。これは中国で初めてのIMAX作品となる。
中国人映画監督、フォン・シャオガンは1958年生まれ。幼少期から芸術と文学を愛した。年月をかけて、彼の独特の映画スタイルは観客の中に根付き、その評価は高まってきた。1997年から1999年にかけて彼が制作したコメディー三部作「夢の請負人」「遥かな想い チャイニーズ・ドリーム in U.S.A.」「ミレニアム・ラブ」は大成功を収め、中国国内映画の新時代を拓いた。しかしフォンは、コメディー映画だけで満足することはなかった。2000年に制作した「一声嘆息」では、現代社会の中のジェンダーという問題に一石を投じ、2006年にはシェイクスピア風の悲劇をモチーフに武術を描いた「女帝 エンペラー」を制作。2007年の「戦場のレクイエム」では大作を監督し、彼の高い能力を世間に知らしめた。10年もの間、一途にエンターテインメント映画にこだわり続けてきたフォン・シャオガン。彼が2010年「唐山大地震」で全身全霊を懸けて観客に捧げるのは、空前の叙事詩である。
《唐山大地震》(2010),馮小剛
この映画を制作したきっかけは何ですか?
カナダから戻ってくる飛行機内で読んだ、チャン・リンの原作小説がきっかけです。実によい物語でした。現在の映画監督に足りないのはよい物語です。物語が映画を作るのです。
《唐山大地震》(2010)
これまでに様々な題材を扱ってこられましたが、あなたの監督法について教えて下さい。
私はただの映画監督であり、自分がどんな種類の監督なのか考えた事がありません。ただひとつだけ言えるのは、何か違ったことに挑戦したいということです。なおかつこれは意図してできることではありません。私は無理矢理にSF映画を撮ろうとしたのではないのです。無理矢理に撮ろうとすれば、その題材でなくてはならず、そのための脚本を探さねばならず、結果として状況はより困難になっていきます。私の場合は脚本次第であらゆる変更を行います。そこに様々な人が関わり、様々なことが起こり、自然な流れとしてその物語を語りたくなる。全ては、脚本によって決められるのです。
《唐山大地震》(2010)
作中に登場する母親の選択について、監督ご自身は正しいとお考えですか?
この映画に関して言えば、彼女の選択が正しいとは言えません。彼女は非常に困難な立場に置かれたのですから、その判断を評価することはできません。子供を持つ母親の選択、私はこの場面を見る人は誰もが衝撃を受け、考えさせられると思います。どこに生きる親であろうと皆、こうした選択を迫られれば深く傷を負うでしょう。とてつもない悲劇に遭遇した時、人は粘り強く生きなければならない。多くの人々が助けの手をのばしてくれるのだから、決してあきらめてはいけないと私は思います。悲劇に直面した人と対峙する時、我々は「理解」という言葉を実行しなければいけません。
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