イニシュタークベグ島
PLACEText: Wakana Kawahito
あなたにとって、贅沢とは何か?
高級レストランで最上級のワインを注文すること? それとも、南国の五つ星ホテルでバカンスを過ごすこと?
確かに、それも魅力的ではあるだろう。
でも、本当に贅沢なこととは、「生きているのを実感すること」といえば、反論するひとは少ないであろう。イニシュタークベグ島は、それをとても洗練された方法で提供しようとしている、新しい場所だ。
イニシュタークベグ島とは、アイルランドの西側クルー海に浮かぶ島で、四方八方を山や島に囲まれている。島の面積は約25ヘクタール(東京ドーム5.4個分)、地盤は潮の満ち引きの関係で毎日5メートルの高低変化があり、又、高台となっている中央部分から、島全体を一望することができる。
『ここには不思議な力があるんだ。来れば分かるよ』とは島のオーナー、ナディム・サデック氏の弁。50カ国に拠点を持つ、世界最大のマーケティング会社でディレクターを務め、長年世界中を飛び回ってきたナディア氏は、当時、消費社会を促進するために商品を作ることに疲弊していた。そんな折、40歳の誕生日に、妻から『島の半分が売りに出ている』という電話を受け、購入することを即決した。その後、何ヶ月かの交渉を経て、島全ての土地を買い取り、道路、水道、ガス、電気などあらゆるインフラを、全て自費で整えた。
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