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「サイコアナリシス:現代オーストリアの眼差し」展

HAPPENINGText: Wakana Kawahito

サイコアナリシス(精神分析学)は、19世紀後半に、オーストリアの精神分析学者のフロイトによって唱えられた言説で、患者の自由連想、空想や夢などの思想を言語化することで、無意識下の葛藤を定式化して解釈するもの。そんなサイコアナリシス的なアプローチで、都市、個人、身体を捉え、映像または写真で表現しようという展覧会がトーキョーワンダーサイト渋谷にて開かれている。今回選ばれた7組のオーストリア人現代美術作家は、建築的、身体的、個人的とそれぞれが主題としている切り口から作品を作り上げた。

「サイコアナリシス:現代オーストリアの眼差し」展
Ursula Mayer “Goldflames Out In The Sky” 2002, Still from the DVD, color, sound, (3 min 30 sec), Courtesy of the artist

マリア・ハーネンプカンプの“動く建築”ともいえる作品は、衣服を用いて建築と身体の問題を扱っている。「Untitled. (from the series “Dress”)」(2010)は、1960年代のウィーンの建築のオーナメントパターンが刺繍されている布を、様々な角度から撮影したもの。

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Maria Hahnenkamp “Untitled. (from the series “Dress”)” 2010, 6 parts, Pigment-print on Hahnemuehle Baryta paper, 83 x 108 cm each, Courtesy of the artist and of Krobath, Vienna|Berlin

もうひとつは、ガラス板の上を赤い服を着た女性が動きまわっている所に、ジェンダー理論を唱えたジュディス・バトラーのテキストが重なっているビデオ作品「V8/10」(2010)。そのテキストはラカン的、フェミニズム的であるが、意味や解釈は複数に読み取れる。

西洋の文脈では、“テキスト=語る”ということも建築的なアプローチと見なされる。したがって、たとえ建物そのものが登場していなかったとしても、テキスト自体が建築的示唆に富んでいれば、その作品は建築として見なされるのである。

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