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北海道立体表現展 2010

HAPPENINGText: Tamami Kadowaki

北海道のアーティストが集結しアーティスト自らが主体となって札幌市内の三つの美術館で同時開催した展覧会「北海道立体表現展」。「立体」展ということで彫刻家のみならず現代アート作家やガラス作家などバラエティー溢れる作品が一堂に集結する。北海道中から56人ものアーティストが集い、北海道の美術シーンを感じることができる展覧会だ。

2001年にスタートしたこの展覧会は、2003年、2006年、2008年と開催し、5度目の今回で最後の開催となる。最終回はこれまで主会場としてきた道立近代美術館に、本郷新記念札幌彫刻美術館札幌芸術の森美術館を加えた3会場で展開するという前例の無い取り組みである。

6月5日には10周年を迎えた感謝の意を込めて3館を一日で廻る無料バスが運行し、今回はそのバスに同行して取材を試みた。道立近代美術館の西門を昼に出発し、順次、札幌彫刻美術館、札幌芸術の森美術館と巡るバスツアーだ。ツアーは好評につきバス中央の補助座席を使うほどの盛況ぶり。乗客38名を乗せ晴天の中、出発した。

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道立近代美術館展示風景

道立近代美術館から出発ということで、まずは各々で道立近代美術館の展示を観ておく。会場にいた人がバスに乗り込んでくるケースもちらほら。これから半日をともにする仲間である。入場券を購入する受付の場所からもちらちらと見える作品が高揚感をさらにかきたてさせてくれる。気になった作品をいくつか紹介したい。

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写真手前:国松希根太「ICEBERG」

国松希根太の「ICEBERG」は、木の幹が二本横たわっている彫刻作品。特に具象的な形に変えられたわけではない。木で創られた何かを見たというよりは、木が“いきもの”であると再認識させられる、木が呼吸をする瞬間に遭遇した様である。その生々しさをさらに引き立てているのが作品の下に敷かれた白濁の液体。ここまで木を生々しく感じたのは初めてだった。

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写真左:渡邊希「MASK」

窓から光が差し込む明るい雰囲気のスペースに、渡邊希の作品「MASK」はあった。風になびかれたカーテン、それが頰に触れるほんの瞬間を抽出したかの様。一見黒い布の様に見えるが、素材は漆であり、差し込む日光、外の景色の変化により様々な表情を見せる。作品の前に立つと歪んだ自分が見える。そしてぬるりと形を変えて漆黒の渦のなかに消えていく。自分の顔の滑稽さに照れながらも漆の美しさに魅了される。

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写真中央:荒井善則「Soft Landing To Field」

小学校の運動会で用いるような三角コーンの木製のもの。石膏のもの。拾い物競争を思わせるカラーの紙。荒井善則の作品「Soft Landing To Field」は、機械的なはずなのに温かくどこか懐かしい、とても不思議な作品である。今回は荒井氏がバスに同乗していたこともあり、話を伺うことができた。作品のその不思議さには理由があった。計算つくされた図形のようなモチーフを用いながらも、どこかでその緻密さを「ずらしている」。作品には、その秘密がいくつも組み込まれている。

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