UNFOLDED
THINGSText: Asami Miyamura
2009年9月、スイスの「Birkhauser(バークハウザー)」社から紙を素材とした立体作品集「UNFOLDED(アンフォールデッド)」が出版された。
私たちの生活に常に存在する紙。近年はデジタル化により紙面よりも液晶画面を見る事が増えたかもしれないが、本や書類、包装紙、ティッシュペーパーなど、まだまだ紙は私たちの生活には欠かせない。本誌に掲載されている作品では、そんな身近にある紙を日常では想像できない角度から使われている。厚さ1ミリにも満たない紙からできたとは思えない存在感と共に、紙ならではの繊細さを感じられる作品が多く、作品は家具や衣服のデザインから、アート作品まで、紙だからこそ表現できる魅力の作品が数多い。
最初にブックカバーでこの本の質の良さを感じられる。ブックカバーの3段に折り畳まれている部分を開くとポスターになっている。
ピクセルガーテン
内容は大きく「PROJECT(計画)」と「MATERIALS AND TECHNOLOGIES(材料と技術)」の2つに分けて作品を紹介している。中からいくつか注目の作品をピックアップして紹介しよう。
トーマス・デマンド
マスメディアに登場するプレス写真をベースに、紙や段ボールを使用して事件現場を再現する作品を作った後、その場所を写真に収めている。一瞬見ただけでは普通の風景だと思ってしまうが、そこにはなんとなく違和感があり、紙で作った無機質さが独特の空気感、社会的な意味を見るものに連想させる、美しさと虚しさの作品だ。
フランク・ゲーリー
建築家の巨匠であり一般家具のデザインも手がけている彼の作品は、建築と同等に段ボールを使った椅子やソファの作品も有名だ。段ボールの重なった綺麗な断面、遊び心のある見た目に、きちんと椅子としての機能美も欠いてはいないデザインが世界で長く愛されている。
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