ツァン・キンワ
PEOPLEText: Justin Tsui
HE Comes From The Sky … or The Sea …(それは空、、、または海からやってくる)
ヘルシンキでの現代アート美術館キアスマでの最新のグループ展示会「Drawn in the Clouds – Asian Contemporary Art(雲のなかに描かれたアジアの現代アート)」について教えてください。
それは、キアスマがオーガナイズしたグループ展示会です。去年の夏、展示会の前に現場視察のため、私はヘルシンキに行きました。実際一度も行ったことがなかったのですが、人々を取り囲む環境や雰囲気に感動しました。その地域には、ある種の重苦しい雰囲気がありました。ある日埠頭に行ったとき、沢山のカモメが歩いたり飛んだり騒がしく鳴いてるのを見ました。このときの印象やイメージが私の心に強く残りました。なので展示会で何をしたいか決めるとき、ヒッチコック映画の「鳥」が思い浮かんだのです。同時に、フィンランドの歴史や冬の暗闇や高校銃乱射事件のような全ての背景となる要素を勉強したのです。そして作品が、見知らぬものへの恐怖、自然や他の国や最後の審判の日などへの恐怖と結びつく何かになると確信したのです。
このようにして「HE Comes From The Sky … or The Sea …(それは空、、、または海からやってくる)」という作品のアイディアを思いつきました。それは、美術館のらせん階段や地下室に沿って描かれた文字と音のインスタレーションです。私は作品の表現として、詩になっている文字を書き、鳥や馬、熊などの声を流しました。実際それら全てが、それぞれの要素でそれぞれの意味を持ったものでした。
White Porn Paintings(ホワイト・ポルノ・ペインティング)
あなたのシリーズに「ホワイト・ポルノ・ペインティング」というものがありますが、そのコンセプトは何ですか?なぜ白という色を選んだのですか?
ホワイト・ポルノ・ペインティングは、単なるセックスシーンの描写ではありません。汚れたもの、つまり人間の隠れた欲望や野性的な願望などと無垢なものとの間の関係性を表しています。白という色は一般的に純粋さや無垢なものととられてて、人々がセックスやポルノについて話すときは、それを汚いものと認識しますが、「純粋さ」や「無垢」や「汚さ」という概念の背後には、絶対的な意味というのは存在しないと私は考えるのです。実際は、それらは単なるいくつかの解釈に過ぎないのです。ある意味、セックスやポルノ、欲望とは、あらゆる人が持つ根本的な本能と関わるものなのです。違う観点から見れば、その作品は、ギリシア神話のディオニソスやアポロニアンにおけるニーチェの概念やセックスや意識についてのフラウドの思想からの影響も受けています。
様々な展示のためにいろいろな街を訪れたと思いますが、お気に入りの街とその理由を聞かせてください。
ヨーロッパ、アジア、アメリカなどの都市を訪れましたが、実際のところ本当に好きな特定の街はありません。それぞれの街がよい面も悪い面も持っていると思います。たとえば、私はロンドン、パリ、ニューヨークは、多くの展示会やコンサートやフェスティバルがあるので好きですが、残念なことにとてもごみごみしていてうるさく思います。また、オランダのハーグのような小さな街も好きで、そこでは散歩をするために森や湖に行って、昼寝をしたりできました。アムステルダムのような大きな都市とくらべて非常に静かでした。
では、最後に将来の展望をお聞かせください。
どれくらい広く自分の作品を押し進めることができるかを知るために、何か違うことに挑戦したいとよく考えています。今のところ、作品のなかである種の雰囲気を生み出すために、音と光を使うことに興味を持ち出してきています。また、動く映像や文字のようなものも検討しています。おそらく、全ての要素を一緒にしたものに挑戦することになると思います。これが今考えているアイディアです。さらに、目に見えるものと見えないものの関係において、様々な素材を使用する可能性を探求したいとも考えています。
Text: Justin Tsui
Translation: Kei Shimizu