アート・バーゼル 2008
HAPPENINGText: Kana Sunayama
ふたつ目は、アート・アンリミテッド。アートフェアにおける「ブース」という概念を一掃しようと、2000年から開催された。ブースの中に展示できないような巨大な作品が、アート・アンリミテッドの会場に、各ギャラリーの垣根を越えてまるでひとつの展覧会であるかのように展示される。しかし忘れてならないのは、いくら展覧会のように見えても、ここは商売の場なのだ。どんなに巨大なインスタレーション作品にも値段は存在し、それを買おうとするコレクターと、売ろうとするディーラーたちの交渉は行われている。
アート・アンリミテッドと会場を共にするセクションが、アート・ステイトメント。ここは約30のギャラリーがそれぞれ一人だけのアーティストを紹介するという、個展形式のセクション。
上記のアート・アンリミテッドとアート・ステイトメントに2008年は元気がなく、あまり興味深い年ではなかったが、その分、アート・プルミエールという、16のギャラリーがそれぞれ二人のアーティストをひとつのブースで紹介するセクションには、非常に活気があった。
特にバルバラ・テュム・ギャラリーのフィオナ・バナーとクロエ・ピエヌ展、コルヴィ・モラの鈴木友昌と辻直之展、またナタリー・オバディア・ギャラリーのマルタン・バレとジェシカ・ストックホルダー展は、コンセプトとしても、視覚的にも楽しめるものであった。
そして最大のアートギャラリー部門。現代アートの老舗ギャラリーから最先端の現代アートを紹介するギャラリーまでが揃う。
続きを読む ...
【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。