ジェズ・トーザー
PEOPLEText: Mariko Takei
マーキン・ヤン・マから始まったクリエイションの旅は続きます。ロンドンを拠点に、更なるクリエイティビティの旅路を案内するのは、ジェズ・トーザー。彼は、写真や映像というアプローチでロンドンのファッション界を盛り立てる、ファッション・フォトグラファーだ。人が起こす一連の動きを、捉えきれない瞬間を、目に見えない人間性を、その奥に潜む強さや弱さを、まさに服を身に纏った人の動きから、その人の中心部へとズームしながら、写真というビジュアル表現で、人間を取り巻くものを視覚化していく。ファッションデザイナーとコラボレーションの輪を広げ、ビョークの映像作品で知られるニック・ナイトが主催する「SHOWstudio」で作品を発表するなど、今後の活躍が楽しみな彼にお話を伺った。
Alek at Select Verve © JEZ TOZER
はじめに自己紹介をお願いします。
子供の頃は、アメリカのテキサスで2年間とイギリスの数多くの地域で暮らすなど、様々な土地で子供時代を過ごしました。そういうこともあり、変化を受け止める術を学習したように思います。写真を勉強しつつ自分の道を見つけながら、いつもレストランで働いていたのですが、それはすぐにお金の為だけではなくなりました。食べ物は好きだし、ロンドンの多くのシェフから学ぶことも多く、最終的にはコーンウォールのホテルトレザントンで調理をするようになりました。いろんな意味で調理は写真と似ているところがあり、双方に似たアプローチをするようになりました。それは、レシピなしという考えや、様々なフレーバーを考慮するということや、どうやって混ぜ合わせていくかなどで、一番大切に考えたのは、新鮮ないいものを、正直にシンプルに表現するということでした。
自分の作った食べ物がぐちゃぐちゃになるのは好きでないように、それは写真にも言えることです。ほとんどは、向かう方向に行きつく為にフォトショップというフィルターを通しているけれども、僕にとっては、補修したり引き伸ばしたり、または素敵なイメージを作る為に自由に使える操作ツールを利用することよりも、第一に考えるのはスキャンし、仕上げをし、校正することです。
レストランで、特にホテル・トレザントンでの仕事をすることで、細やかなプレゼンテーションについて多くを学び、ディテールに対する感覚に磨きをかけてきました。妙な話だけど、これがニック・ナイトの元で最初のアシスタントとして仕事することになる、その為の準備期間のいくつかの出来事です。
最近の活動やプロジェクトについて教えていただけますか?
この3ヶ月は、3つショートフィルムを手がけました。SHOWstudioの2つとマーキン・ヤン・マの一つです。リチャード・ワトキンスというアーティストとの仕事もあり、他には最近イビザに3日間行っていました。今年、イビザ・ロックスは、夜のクラブイベントや商品など莫大な需要に応えるのに、ホテルと3つの店舗をオープンしたんです。今シーズン用の服の写真撮影の仕事で、新設されたホテルの中やその周辺、ビーチなどに行きました。素敵な人が沢山いて、戻ってきたくなかったくらいです。
現在はロンドンで行っているプロジェクトに携わっていて、その仕事でニューヨークへ行くんじゃないかと期待しています。大きなcanvasや、あるモデルが関わってます。(いいえ、絵の具をまき散らすものは関わってないですよ!)全てはイメージ作りの行程の最終段階で、コントロールすることの必要性を問うというものです。
Lyoka at FM Models / Hair Halley Brisker © JEZ TOZER
今後のプロジェクトのひとつは、ヴィジョネアで活躍するポール・デイヴィスとの多面的プロジェクトがあります。次シーズンのロンドンウィークに向けた2人の若手デザイナーとのコラボレーションや、スポーツウェアでメジャーなブランドとのプロジェクトなどもあります。あと、最近「Aganovich」のナナとブルックと出会いがあり、一緒に仕事をすることになったので、すごく楽しみです。
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