オプトロニカ・フェスティバル 2007

HAPPENINGText: Peta Jenkin

土曜日のプログラムは「ビッグ・イン・ジャパン」と名付けられた日本のVJやマルチメディアシーンを見極めるものとなった。むしろ安っぽいとも言える日本のアニメーションで幕を開け、おきまりの自然や羽ばたく蝶をポップな2Dで描き、さらにアンバランスな3Dのビデオクリップの狂想曲。ライオンやドラゴンがぞっとするほどに粘っこいレイブトラックに合わせて踊り回る。きっと、アディクティブTVが笑いを取る為に流したのだろう。冗談はさておいて、アーバンカルチャーのジャングルでもある東京などには、これ以上に面白い作品があるはずなのにという印象だけを残した。

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Ryoichi Kurosawa. Photo: Finckh&Neye

その後を引き継いだ黒川良一は、期待を裏切らない、とても魅力的なライブパフォーマンスで魅せ、それを証明してみせた。推測不可能なこの若者は、ここ数年アーティストとして精力的に活動している。驚くほど効果的に2つのスクリーンを操り、色彩、光、動きともに豊かで、館内を引き裂く音のリズムが文字通りにデジタルのキャンバスを引き裂かれているようであった。

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EBN at Club AV. Photo: Lisa Loco

夜はまだ続いていき、ICAによるクラブイベントに取って代わって、最終日のクロージングパーティーでは名だたるDJやVJを迎えて気楽なクラブへと様変わりし、観衆を遅くまで楽しませていた。

この会期中に目立ったアーティストとは、決して革新的、ビジュアル的に優れた、または技術的に突出してわけではない。彼らはアイディアを作品として形作ることに長け、そしてサウンド、ビジョン、テクノロジーを駆使して表現することに優れていた。

フェスティバルの主催者、フランソワ・ラミーはこう話す。『このオプトロニカがVJフェスティバルやそういった種類のものと受け取ってもらいたくはないんだ。オーディオ・ビジュアルの新しい言葉を発表する場であり、視聴覚の全ての構成といった、より大きな観点からみてほしんだ。』

ライブデジタル表現の一つであり、結果がどうであろうと、とても新鮮で刺激的であり、新たな道を切り開いていく限り、楽しませ続けてくれる探求であろう。

Optronica Festival 2007
会期:2007年3月14日(水)〜18日(日)
会場:BFI Southbank, BFI IMAX and ICA
https://www.optronica.org

Text: Peta Jenkin
Translation: Yoshitaka Futakawa
Photos: Courtesy of Optronica

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