クイーンズデー 2006
HAPPENINGText: Ania Markham
オランダでは毎年4月になると、自然と熱気がわきあがるのだ。この4月の末日のクイーンズデーを甘く見てはいけない。世界的にみてもこれほどの盛大な祝日はめったにないのだから。この日はオランダが国をあげてパーティを開き、彼らが女王の「誕生日」を祝うのだ。主要都市の道路はオレンジ色に飾られ、そしてどの街も地元住民や観光客であふれかえる。
ロンドンから来た私は、このアムステルダムのクイーンズデーにはド肝を抜かれた。なにしろ初めてだったものだから。最初の半日はジョールダン一帯で開催された巨大な中古品市場をまわって、私たちは50年代のアメリカのビーチクルーザー自転車をなんと35ユーロで購入し、それから10ユーロという安さでテントを手に入れた。そして見渡す限り、運河も道路も着飾った子供や、ビールパーティーをする大人や、拡声器を通した声や、オレンジ色の空気で埋め尽くされた。混乱もなく、老若男女、誰もが陽気に笑っていた。
私の故郷ではノッティングヒル・カーニバルというロンドンの素晴らしい祭りが行われていて、あれだけ多くの(何百万の)人が一度に一カ所に集まるものだから、しばしばトラブルが起こるし、時には暴力に至るケースすらある。アムステルダムはそれと比べ、非常に温厚で寛大であるように見えた。
二年目になると、我々は友人の家の敷地を使って店を開くことにした。ジョールダンのど真ん中という素晴らしい立地条件だった。元ロンドンッ子である我々のグループメンバーが全てをしきった。オランダ特有のどしゃぶりにも備えられるようなテントを立てて、古いレコード、スニーカー、古着やホームメイドマフィンなど色々な物を売っていた。レコードをかけ、ティーンエイジャーの時に踊っていた古くさいダンスを踊って、笑って本当に楽しかった、しかも、幸運なことに!なんと800ユーロも売り上げたのだ!!なるほど、だからオランダ人たちがあんなに場所とりや販売に一生懸命だったんだ!
Everyday is not like everyday. A Kai Zastrow book © Koen Hauser, Courtesy of Foam Gallery
あなたのシティー観光予定の中にこのクイーンズデーを加えることを強くおすすめする。このシーズンはアムステルダム中で宿泊場所を確保するのが難しくなるが、かなり前から予定をたててホテルを予約すれば大丈夫だろう。しかし、もしこのオレンジに埋め尽くされたパーティーがピンとこなかったり、オランダに住んでいて他人の動向をちょっと観てみたいだけというのならば、5月14日までヘレン運河のtNtで行われているフォーム・ギャラリーの展覧会「エブリデイ・イズ・ノット・ライク・エブリデイ:クイーンズデー 120日目」に向かうといい。ベルティアン・ ヴァン・マネン、ビアンカ・ピレ、オットー・スノック、コーエン・ハウサー、メラニー・ボナジョーなどの写真家、建築家や映像制作者のが制作した素晴らしい作品を展示している。
Everyday Is Not Like Everyday: The 120th Day, Queensday NL
キュレーター:Kai Zastrow
会期:2006年3月30日(木)〜5月14日(日)
時間:10:00〜17:00
会場:tNt
住所:498 Herengracht, 1017 Amsterdam
入場:5 ユーロ
TEL:+31 (0)20 551 6500
https://www.foam.nl
Text: Ania Markham
Translation: Rin Okada
Photos: Ania Markham