NULL* 展「×0」

HAPPENINGText: Yurie Hatano

東京を拠点に活動するアートレスによるプロジェクト・ユニット、null*。日本で生活している日本人である以上潜在的に蓄積される「日本の美意識」をコンセプトとし、タイポ、フォト、イラスト、ペインティング、インタラクティブ、映像など、様々な手法でメディアにしばられないグラフィック表現を行っている。2005年度の京都プリンツ、東京コムサコミューンに続く3回目の展覧会が、2006年3月ついに札幌SOSOで開催された。

横浜で開催されたエレクトリカル・ファンタジスタでのプレゼンテーションを経て、翌日の3月11日に強攻で羽田から飛んできたのは、代表の川上俊と13名のメンバー達。総勢なんと15名のデザイナーやアーティストで構成されたビッグユニットであり、川上氏を含めた14名が今回の展覧会に参加。そのほとんどが、この日SOSOに集結したわけである。なんと。それだけで豪華で贅沢なオープニング。

しかし、そんな豪華さをもって、少しも強攻さを醸し出さないのがnull*だった。独自の自由な表現、活動、発表の場を楽しみ、“ヌルく心地よく” をもコンセプトとする彼らは、訪れた人々と一体になって会場に紛れ、緩やかに時間を共有していくことになる。なんとも自然体のヌルかっこよさ。主役は無邪気に歩き回るキュートな娘さんだったり。

オープニングのパフォーマンスでは、メンバーの一人、オオサワアキラのライブペインティングが魅せる!メインの壁には14の作品が貼られ、オオサワ氏はその全員の作品の上に豪快に色をのせた。現れた「人」は圧倒的な存在感を持って、その後も展示の大きな核となる。『Our life is changing every moment dramatically』。

その言葉に、「0」、「空値」、「無価値」という意味を持つ「null」だが、『引き算のグラフィックをしたかった』という川上氏の構想のもと、今回の展覧会には「0」をかけると全ての数字は「0」になるという、「×0」のコンセプトが盛り込まれていた。

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鈴木将弘
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