ケン・パトラー

PEOPLEText: Garry Waller

ケンが楽器を作る時の作業は、主に彼が見つけるアコースティックで実用的な材料が使われる。これが彼が「ハイパー・ユーティリティ(超実用的)」と呼ぶものだ。しかし僕は、彼の奇妙で風変わりな道具を見て、何か隠されたメッセージや、彼が作ろうとする声明のようなものを感じる。壁にかけられていたのは、弦楽器の面白いサンプルがいくつかと、チェスボード、レザーブーツ、古い電話、偽物の銃だ。

この仕事は、彼が心地よく感じる様々なものや事を導いてくれる、と僕に言うと、彼はホッケーのスティックの実用性を指摘した。これは、真直ぐに支える能力、つまりギターの枝の部分になり得て、足の部分にはデザインを施す事ができる。彼はまた、弦楽器のいくつもの使い道を教えてくれた。弦を使い、かき鳴らしたり、はじいたり、また表面を叩いたりする。ケンの作品は、どこの壁にかけられたとしても、食卓の面白い話題になるだろうが、彼は楽器を美的な部分だけに焦点をあてた作品としても展示してきた。

ケンとのおしゃべりも終わりに近づくと、彼は作品がいくつか映し出されたビデオを見るよう僕に言った。ビデオには、手の込んだインスタレーション作品がいくつかあった。オーディオやビジュアルの層を作り出すキーボードなどだ。大掛かりなライトのミックスやビデオ、フォト、サウンドは、結果であり、途中経過であり、全てはケンだ。また別のシーンでケンは、小さなマイクを口にいれ、頭の色んな部分を指で叩く事によって、リズムの名人になった。頭にはマイクついていて、小さなアンプを通して音が出る。ケンが指摘するように、“触るもの全てが音を出す” のだ。

Text: Garry Waller
Translation: Yurie Hatano
Photos: Garry Waller

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