「ロジャック」
あらゆるモノの中から10個選び取り、それらを混ぜこぜにし、アルコールを加えるとどうなるのだろうか?「ロジャック」というシンガポールのローカルなサラダの中にはパイナップル、キュウリ、カブ、衣揚げ、揚げ豆腐をたんまりと入っていて、エビのペースト、モヤシとクラゲをつけ加えてあり、特製トウガラシを混ぜてあり、砕いて火であぶったピーナッツがかけてある。それは香ばしく、濃い味で、噛むたびに違った感触がする。
初めてのロジャックは新鮮なものだった。ここで紹介するロジャックというのは、地方のアートシーンを賛するために催されるパーティである。10という数字は、10人の人のように特別な意味を持つ数字である(このパーティでは、基本的にアーティストから建築家、映像制作者、グラフィックデザイナーまでに及ぶ人々なら誰でも取り上げられる)。 10の側面から彼らの作品をまとめ、午後10時に始まるパーティでそれらを発表する。そこにはお酒が用意され、雰囲気のある照明が施され、主催者のイタリア家具があり、そして様々な人の考えに触れることができる。
東京でクライン・ダイサム・アーキテクチャーにより行われたペチャクチャナイトに刺激を受け、ロジャックという、地方のデザイナーやアーティストがそれぞれ異なったやり方を混ぜ合わせ、体感するための形式張っていない場が用意されたのだ。それは人々がお互いのやり方、考え方を垣間見ることを可能にする。屋外の駐車場でワイングラスを片手に持ち、そこで立っているにしろ、座っているにしろ、しゃがんでいるにしろ、観衆は都市のすき間に出現したクリエイターに魅了された。
ズークのフライヤーは興味深いコンセプトとグラフィックで関心を集め続けている。ジェームス・キンはそのために作り続けてきた作品のうちのいくつかを展示し、それらの背後にあるコンセプトと考えを披露した(一体誰がグラフィックは感覚的なもののみに基づくと言ったのだろう?)。
我々は、ジャスティン・リーが彼の一番新しいインスタレーションの作品をエスプラネードのガード下で説明したとき、そのスケッチブックも覗いた。それは「アワー・ピープル・アワー・ライフスタイル」というタイトルで、彼はシンガポールの人をシンガポールの人たらしめているほんの少しのことを調査している。テクノロジーの普及とグローバリゼーションの進行が地方文化に及ぼす影響を見て、ジャスティンは我々の地方の盲目さに多少の警鐘を鳴らしている。
建築家のケルヴィン・アンとタイ・ナン・チュアンはそれぞれ、都市の一角と家のリフォームの過程を作品として発表した。シンガポールのユニークな街角から、スケッチがないが、むしろ与えられたデザインそのものを駆使して作業するような改築作業まで、それらからは、あるもの、なるもの、の対比が感じられた。
第二回のロジャックは9月の予定。二杯目はより味わい深く、よりじれったいものになるだろう。ご期待を。
ロジャック
日時:2005年6月10日(金)
住所:Block 80, #01-82 Nicoll Highway, Singapore
https://post.fm/rojak/
Text: Fann ZJ
Translation: Yuhei Kikuchi
Photos: Torrance Goh