姉川たく
PEOPLEText: Naoko Fukushi
絡みあい、もつれあい、結ばれて、また、ほつれる。そんな糸の持つ魅力を見い出し、最近では刺繍という手法を使った創作活動を積極的に行っている姉川たく。今月のカバーデザインは、活動10年目という節目を迎える彼が手掛けてくれた。とは言え、彼の名前を初めて耳にする人も多いのでは?アートディレクションやプランニングなどのクライアントワークも手掛ける彼が、自身の創作活動により力を注ぎ始めたのはここ最近だ。アーティストとして今注目を向けずにはいられない、そんな彼にお話を伺った。
まずはじめに、自己紹介をお願いします。
姉川たく。イラストレーター、アートディレクター、プランナーなど。
現在はどのような活動をしていますか?
2004年からは個人的な作家活動も積極的に行っていますが、依頼をお受けする形での仕事も多くしています。開拓型、受注型。どちらも魅力的なので。
個展/グループ展他にも、携帯電話のカスタムジャケットの展覧会やNHKの番組でのオープニングなどいろいろな活動をされているようですが、最近の活動内容をそれぞれ簡単に紹介してください。
「P900i meets artist “crossing”」
パナソニック・モバイルからの提案で、企業との新しいコラボレーションの形態を模索しているプロジェクト。第一回目は「P900i」のカスタムジャケットを様々なアーティストに依頼し提案してもらいました。
参加者はMAI、ten_do_ten、白根ゆたんぽ、菱川勢一、ARKO、HIRO、今井トゥーンズ、moss design unit、福井利佐、海老沢正敏、遠山敦、nem、姉川たく。
会場にて“crossing”のためだけにアーティストたちがデザインしたカスタムジャケットの販売もしました。
「NHK親と子のテレビスクール」
新しい現場感覚の親子番組というコンセプトのテレビ番組。毎週土曜日、午前11:00から。
姉川はオープニングアニメーション、タイトルデザイン、キャラクター、撮影セットの壁画などを担当。オープニング音楽は「グリーングリーン」をバッファロー・ドーターの 大野由美子さんが編曲、それをUAさんが歌っています。
他にも、最近では名古屋万博NEDOブースで流れるナノ映像のアートディレクション、パナソニックCQの映像制作、某玩具メーカーと某ゲームメーカー共同企画の〜リンガルのディレクション、東京デザイナーズブロックのためのキャメル自販機のデザイン、某代理店で展開するための新規キャラクター提案、など行っています。
キャラクターの仕事と今回のような展示(作品発表)の違いを教えてください。
今回のような展示の方が、より濁りのない表現ができるということはあると思います。クライアントがいるかいないかという違いはもちろんありますし、自分の生活や考え方から出てくるひとつの答えという感じもします。2004年から、展覧会を積極的に行うようになったのは、純度の高い表現がやりたくなったということもあるし、東京に来て4年、ようやくそういった環境が自分の側に整ってきているということもあると思います。
今見ると、受注型のキャラクターなどと、今回のような展示作品は見た目も雰囲気も違って見えるかもしれませんが、10年、20年して眺めてみれば、やはり同じ人間のやったことですし、根っこは同じでしょうね。自分の中でも、その辺りは少し俯瞰して眺めているところもあるので、本当はあまり大きな違いはない、とも言えますね。2003年までは、開拓型の表現を、展示という形態でなく、企業への提案、持ち込みという形で行っていたのですが、それを2004年からは、展示という方向にシフトさせた。という風な説明もできますし。
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