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サム・ベルネーム

PEOPLEText: Eric Dalbin

サム・ベルネームの作品のインスピレーションの源。それは常に、パリ、ベイルート、ボストン、フィラデルフィアといった都市だ。ストリート、歩道、地下鉄の駅、空きテナントのガレージ、マンホールなど、このような場所は、彼の創造の場でもあり、表現の場でもある。彼が残すものは、堂々と犯罪的で、しかもこの行為をやったのは自分だと、何らかの形で主張している。それぞれの都市に存在する法律に、自由を再構築しようという意図なのだろう。

一方で、彼の作品は、街そのものと詩的なつながりを持っているようにも感じられる。熱心に街の一角を選び、グラフィックライティングを施しながら、彼はその場所を、自分のものにしていく。そこに存在する空気を破壊し、また同時にその空間と相談しながら、特別な空間を作りあげていく。つかの間の、小説的な空間とも言える。

ところどころで、「TRUST」「CRUST」「SPIT」「SIXTH」という単語が散りばめられているのを見つける事ができる。その言葉達は、そのぞれの持つ音声の強さと色彩で、物理的に存在しているかのように感じられる。(発音すると、空気を勢いよく出したり、弾いたり、止める音が並んでいる)それらを見て、その不思議な文字の形と、そこに隠された意味を考えていると、書くことと読むこと、言語とその記号性の関係について、つい考えさせられてしまう。

Text: Eric Dalbin
Translation: Naoko Fukushi
Photos: Courtesy of the artist, © Sam Bernheim

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