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H2O

PEOPLEText: Sachiko Kurashina

今月のカバーデザインを手掛けてくれたのは、サンフランシスコを拠点に活躍するデザインユニット「H2O」。「SAL magazine Vol.6」でも彼らの作品が紹介され、注目を集めつつある彼ら。ストリートウェアからイコン的なビジュアルイメージを再認識するシリーズ「REMIX」展の、日本での開催も目前に迫った今、中心メンバーのニック・フィリップにお話を伺った。

はじめに、自己紹介をお願いします。

「H2O」のニック・フィリップとサイモン・コリーです。現在はサンフランシスコで活動をしていますが、出身はイギリスです。ニックは、ストリート・ウェアのデザインとインタラクティブ・メディア・アートのバックグランドを持ち、サイモンはもともと音楽に関わっていました。

「H2O」は、どのようなデザインチームですか?どのような活動を行ってきましたか?

僕達の作品は、アートと商業の狭間という、ファジーな部分に存在していると思います。ギャラリーでのプロジェクト用にコンテンツを組み立てたり、独自のストリート・ウェアをデザインしたりしています。ビジネスとしてのフリーランスでのデザインも行いますし、クライアント用のイラストを手掛けたりもします。


Dali Remix, 2002

最新プロジェクト、「REMIX」について教えて下さい。

どんなものでもサンプル化、あるいはデジタル化したり、アップロード、ダウンロード、スキャン、ストリーム、リップ、そして焼いたり、無断で使用できたりしてしまう今という時代では、何かを流用することが当たり前のようになってきていると思います。エレクトロニックミュージックからタームを活かし、それをビジュアル的なフォームに取り入れることで、「REMIX」というビジュアルプロジェクトは、ペインテイング、企業のロゴ、コンセプチュアル・アート、広告、そして宗教の聖像学的な作品までをも、それらがもつ根源的な意味とはかけはなれた新しいものとして分解できるのだと思うのです。

ビジュアルプロジェクト「REMIX」は、ビジュアルを解釈するシリーズで、ベルベットラグペーパーに印刷されています。ハイクォリティーのインクが使用され、エプソン9000でプリントしました。

現在進行形のプロジェクトでもあるこの「REMIX」は、アメリカの西海岸にあるギャラリーや洋服店、そして日本で公開される予定です。


Deskman, 2002 H2O

11月4日からは、ソ-ソ-カフェでの展覧会が約1ヶ月に渡って開催されます。その後、東京のギャラリー「ROCKET」でも開催されますが、展覧会のコンセプトを教えてください。また日本にはどのような印象を持っていますか?

マルセル・デュシャンの言葉でこういうのがあります。「アーティストが携われるのは、その作品の半分まで。残りの半分は来場者にかかっているのだ」。来場者のみなさんには、楽な気持ちで楽しんでほしいです。

ストリートカルチャーや、ポップカルチャーで活動する新人アーティストや、新しいディレクションの方法などに注目するスピードは、アメリカよりも日本の方が速いと思います。日本では結構有名なアメリカ人アーティストが、アメリカではそれ程知られていない、というのは少し可哀想というか、皮肉だな、という気もします。


Job, 2002 H2O

3月にシフトで募集した「SSB Competition」にも参加されていますが、このようなコンペティションにも積極的に参加するのは、重要な事ですか?

コンペティションというものは、アーティスト自身よりも、一般の人々の方がその重要度が高いという、ある種の流れみたいものがあると思います。それは、もしアーティストがコンペティションで受賞したら、その作品はいいものに違いない、という漠然とした概念をみんなが持っているからです。アーティストにとっては、作品が高く評価されるかどうかはそれ程重要なことではありませんが、受賞することで、沢山の人達に自分の事を知ってもらえるので、その点は大切かもしれません。

これからの若い人たちにデザインについて何かアドバイスするとしたら、何をあげられますか?

見た目のクールさよりも、アイディアについてコミュニケーションがとれる作品を作り上げる、という努力が大切です。

H2Oにとって、もの作りとはどのような意味がありますか?

自分の身の回りに何があるかをぐるっと見渡してみること。そしてそれをフィルターにかけてみたり、再考してみたり、あるいは違う方向に置いてみたりすることです。

今後の活動はどのように展開して行きたいと考えていますか?

今、という時間を楽しみたいという気持ちがあります。僕達はあまり、先を見通したりはしないので。

最後に、何かメッセージをお願いします。

日本で会えるのを楽しみにしています。

H2O
住所:615 Cole St, #18, San Francisco, CA 94117, USA
TEL:+415-221-7495

Text: Sachiko Kurashina

[Help wanted] Inviting volunteer staff / pro bono for contribution and translation. Please e-mail to us.
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