プログレッシブ・フォーム・ショーケース

HAPPENINGText: Shinya Sagai

2000年に設立以来、日本における様々な、新しいエレクトロニック・サウンドをサポートし、海外との繋がりを絶えまなく継続、推進し続け、いまや日本を代表するインディペンデント・レコード・レーベルとなったプログレッシブフォームの札幌初のショーケースライブが、ソーソーカフェで行われた。

「プログレッシブ・フォーム・ショーケース」と題されたこのイベントは、19時スタート、22時クローズという3時間のなかで、プログレッシブフォームを代表するアーティスト、青木孝允、黒川良一、この両名のライブパフォーマンスを中心に展開。

スタートは、プログレッシブフォームの代表NIK氏によるDJで幕を開けた。そのプレイには設立からレーベルをここまで引っ張って来た自信に裏打ちされたセレクトが感じられた。全体に実験的かつ先鋭的な選曲でありながらも、どこかリスニング的な要素に重点を置くプレイに、これから始まるメインイベントに期待が高まる。

会場正面にあるスクリーンに映像が投影され、少し重々しい雰囲気の中、黒川良一のライブがスタート。水、空、建物などの素材が美しく歪みあう映像作品と、その世界を拡張していく音楽が、僕の頭をからっぽにした。それからはあっという間に時が過ぎ、実際、今思い起こすと最後の方の記憶はあいまい…。気がつけば音が止み終わったという事に気付く。そんな引き込まれ、時間感覚を失うほどの完成度の高いものだった。ライブ終了後、一度耳や頭をフラットな状態に戻すため、20分程の休憩。

青木孝允は、海外を含む数多くのライブパフォーマンスを通して、ここ数年における日本の新しいエレクトロニック・ミュージックの潮流、また推進してきた中心的存在として知られている。定評のあるライブ・パフォーマンスは、2002年の3回に渡るヨーロッパ・ツアーや、2003年はソナーを含むヨーロッパ6都市9公演、8月上旬にもヨーロッパ3都市3公演を行い、今回のライブは帰国直後でのパフォーマンスだ。

その青木孝允のライブがスタート。ラップトップ2台を使用して展開していくそのライブスタイルは、今となっては、クラブなどでのライブでもよく見る当たり前の光景となってしまったが、しかし、曲が進むにつれて、あきらかにその良く見る光景とは異なった違和感を感じた。そのパフォーマンスとクオリティの高さに明らかに違和感を感じたのだ。電子音が生命を持ったかのようなその独特な音響空間に、会場をさっきまでとは別の空間に押しあげる。事実、僕はよくあるラップトップだけでのライブというものに多少の退屈さを感じていたのだが、この日の青木氏のパフォーマンスを見てその考えを改めざるを得なかった。本質とは何かという事を改めて考えさせる素晴らしいライブであった。

現在また今後におけるエレクトロニック・サウンドやビジュアルの本質がここにあるといっても過言では無いだろう。そして、まずはどうあれライブでもCDでも構わない、ボリュームを最大にして聴いてみる事をおすすめする!

PROGRESISVE FOrM SHOWCASE
日時:2003年11月22日(土)19:00〜22:00
会場:SOSO CAFE(ソーソーカフェ)
住所:札幌市中央区南1西13三誠ビル1F
料金:前売 2500円 当日 3000円(共に1ドリンク付)
主催:PROGRESSIVE FOrM
https://homepage.mac.com/p_form/

Text: Shinya Sagai
Photos: Naoko Fukushi

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