ヴィクトリア・ケルン「カラースペース」
HAPPENINGText: Christina Merl
Color Space e-basis, Bertl Mutter, composer, Vienna, 2003
『色とは、目で見ることのできる光。この光は、空間 — カラースペースになる。カラースペースでは、あなたの体が光になる。動く、無形の色へと』- ビクトリア・ケルン(2003年)
90年代の初期から、ヴィクトリア・ケルンの作品は、光、色、空間にテーマにしている。オーストリア生まれの、このライトデザイナーは、瞬間を体で感じることのできる作品を生むために、有形物と無形物の壁を超えて融合させる。
Color Space e-basis, Bertl Mutter, composer, Vienna, 2003
ケルンの「カラースペース」は、色のついた光で照らされた空間内で色同士が混ざり合う、光のトレースだ。つまり、プロジェクターの前に単色のカラースライドを置き、それが長方形の無形イメージを映し出す。幾重にも重ねられた色の混合で、イメージはとても明るく、ほとんど白に近くなって見えるのだ。
Color Space e-basis, Tulga Beyerle, Vienna, 2003
無形の色で染められた「カラースペース」は、プロジェクターと、投影される面の間に位置する。私たちは、その中に一歩入ってはじめて、その光を“感じる”ことができる。そうして動かぬイメージは、多色彩の人の影によって動くのだ。訪れた人は、その光と影の交錯の世界と、その無限のバリエーションを体験することができる。そこに、時間と空間はもはや存在しない。代わりに、ビジュアルの新しい世界が広がっている。そういった意味で、このカラースペースは、高いインタラクティブ性を持っている。しかしまた同時に、その光自体も高いクオリティを持っており、その光だけでも、独立した作品として十分な要素を持ち合わせている。
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