ロンドン・ポリス
PEOPLEText: Ania Markham
アーティスというアムステルダムでも落ち着き感があるエリアに、ある一軒のアパートがある。そこの住民の一人が、ギャレット・コウ。ロンドン・ポリスというストリートアートグループのメンバーの一人だ。ロンドン・ポリスの活動目的は何か?そんな質問を投げてみると『多くの人の目に触れてもらえるように、アートを街の中に存在させること。僕達にとっては、公共の場こそがアートギャラリーさ』という答が返ってきた。彼ら特有のそのキャラクターとシンプルなグラフィック。そんなロンドン・ポリスの作品は、ロンドン、ベルリン、ニューヨーク、サンフランシスコなど、世界中のストリートで目撃することができる。
ロンドン・ポリスは3人グループ。ギャレットの他に、チャズとボブ・ギブソンがメンバーだ。4年前に、地元に根付いたプロジェクトとしてスタートしたこのロンドン・ポリス。地元プロジェクトでありながらも世界中で認知され、一つのストリートアート“ブランド”として注目を集めている。
チャズとボブには、アムステルダムのストリートで自然に出会えたというギャレット。彼らのグラフィティの活動に、ギャレットが参加したのだ。『とにかく好きだったから、ストリートで絵を描き続けていました。面白いということ以外、理由などありませんでしたね。そうしているうちに、僕達の作品も徐々に知られるようになってきて、それと同時に、人々の作品への興味も高まって行ったようです。ギャロットと本格的にプロジェクトを実行に移そうと思ったのは、ちょうどそんな時期でした。ロンドンポリスという名前は、僕達は警察のようにいつもストリートにいるから、という理由ですぐに決めてしまいました。グラフィティをやっている者にとっては、この名前もそんなに悪くはないんじゃないかと思っています』。
他のグループと比べて、ロンドンポリスが際立っている点。それは、オリジナルのキャラクターや作品に対するアプローチの方法だ。『作品はひとつのブランドとして発表しています。どれもこれも、一つ一つ異なるものとして扱っているため、作品には人間のように頭があり、体があり、そして脚があるといった風にです。色々な意味で、陰と陽の2つの面も持ち合わせているとも言えますね。良く見回してみると、自分の周りは色で溢れていることに気付くと思います。色は、そういった周りのもの全てから解放され、シンプルなグラフィックへと導いてくれると考えています』。
『ブランドという潜在意識はまた、キャラクターがなくても、“ヘッド” につながるというコンセプトに集中するのを促してくれます。これらは全て、垂直にも水平的なものにもなり得ますが、キャラクターとしては同じものです。そうすることで、かなり自由にキャラクターを作り上げることができ、様々なメディアを通じて多くの人たちに作品を発表することができているのだと思います。つまり、僕達は筆やスプレー缶を持って、ただむやみやたらに描いている訳ではなく、柔らかい頭で考え、自分自身に限界という線を引かずに、壁に作品を描いているのです』。
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