ドーマ・コレクティブ
PEOPLEText: Gisella Lifchitz
ブエノスアイレス現代美術館(MALBA)での初の展覧会「コンテンポラリー」への出展後、彼らの生活やプロジェクト、そしてどのように全てが始まったのかを語ってくれたドーマ・コレクティブのメンバー。待ち合わせの色鮮やかなバーには、やや遅れて登場。現れたのが2人だけだったのは、他のメンバーが現在、世界中に散らばって活動しているからとのこと。バルセロナ、マイアミ、ブエノスアイレス…。次に彼らが向かう先はどこなのだろうか。
メンバーはどのようなきっかけで知り合ったのですか?
同じ大学の出身なんです。メンバーのうち何人かはその後、同じ会社で働いていたこともありました。僕達が好きなことをやってみようってことになったのは、1998年のこと。まず初めたのが、セリグラフィーとストリートアート。その後、ビデオ制作を始めたのですが、今ではビデオが僕達が一番得意な分野です。初めての正式な仕事は、4分間のアニメーション・ビデオ・クリップの制作で、これは、TV番組の合間に流されました。僕達の「ドーマ(DOMA)」という名前は、スペイン語で「飼いならす」という意味です。例えば、乗るために馬を飼いならす、とかいったように。地元に根付いた、パワフルなコンセプトだと自分達では思っています。ガウチョ(南米のカウボーイ)や、パンパス(南米、特にアルゼンチンの樹木のない大草原)とも関連がありますしね。それに歴史的なルーツとも関係しています。
ロゴについて教えて下さい。
まずはじめに、フランスのトイレが写っている写真にちょっと手を加えてみたんです。抽象的な形をキャプチャーしたりして、デザインし直してみた。そして仕上げとして、子馬を描いたら、僕達のロゴが完成したというわけです。
ということは、そのものや言葉のセンスを取り除いてしまうということが、ドーマの意図とするところなのでしょうか?
そうですね。そうかもしれないし、それの逆っていうのもあるかもしれません。そのもの自体が満杯になるまで、いろんな意味を注ぎ込むというかんじでしょうか。
ドーマとしての活動を定義してみると?
現代アートですね。楽しんでいますよ。メンバー全員も、普通の人と何ら変わりはないですからね。もの作りが止められない理想主義的なアーティスト達です。
現在の活動の根源的なものは何ですか?
標識や電車とか地下鉄とか、とにかくストリートからでしたね。そのものが持っているものとは違うセンスを僕達が加える。それが持つルートとかメッセージに変化を与えてみる。そうすると、それが今までとは違った新しいものになって、みんながあれ?って思いはじめるんです。みんなが機械的に動いてしまうのを止めさせるのが、僕達の目指すところです。日々目にするもの全てに、みんながリアクションしてほしい。そうすれば、今までとは違ったことに気づけるはずです。意識しない限り、無意識にコントロールされていたり、どっちの道を選ぶべきかなんて気付かないのです。みんな反抗的じゃないんですよね。
つまり、世界全体を変えるつもりは毛頭ないが、人々のリアクションを刺激してみたい、ということですよね?
そうです。ちょっとややこしいんですよね。システムを打開しようとは全然思っていません。それは、僕達自身もシステムの中で生活しているのを自覚しているし、それはそれで僕達にもOKなことですから。でもだからこその部分に、ちょっと波風を立たせる存在になってみたいんですよね。
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