ビデオ・アート展「モノカナル (シングルチャンネル)」
HAPPENINGText: Terevision Ruiz
ここ2、3年、スペインではビデオがアートメディアとして、多くの場で使用されるようになってきている。アーティストやプロデューサーの数が増す中、ビデオを再度見直してみるのには、絶好のチャンスなのかもしれない。1996年から2002年に間に制作された、スペイン人アーティストによるビデオ作品を集めたのが、この展覧会「モノカナル」(シングルチャンネル)。国立ソフィア王妃芸術センターのオーディオ・ビジュアル部ディレクター、ユアン・アントニオ・アルヴァレズとネウス・ミロとベルタ・シチェルとのキュレーションによる展覧会だ。
オーディオ・ビジュアル部の運営により、1年間に渡ってコンペティションが開催され、200点にも及ぶビデオ作品が集まり、そのうちの43本が最終選考作品として選ばれた。展覧会では、ドキュメンタリー、ビデオ・ミュージカル、物語、コンピューター・アニメーションなど、幅広いジャンルの作品が紹介されている。選抜されたアーティストは全員がスペイン人。その何名かは海外在住だ。
Julia Montilla and Juande Jarillo, Flame (Capriccio), 2001
7つのプログラムから構成されているこの展覧会。アーティストそれぞれの、アーティスティックなプロダクションについて、スムーズに理解してもらうためだ。プログラムにはタイトルはないので、それぞれには1から7の番号がふられている。そのことで、ジャンルや主題毎にグループされたりすることはないのだ。
Jordi Moragues, One Night, 1997
選ばれたアーティストの中には、国際的に知名度がある人もいれば、まったくの無名人もいる。例えば有名どころでは、セルジオ・プレゴ、ユラリア・ヴァルドセラ(2001年のヴェネツィア・ビエンナーレに参加)、ジョルディ・コロマー、ピラール・アルバラシン、ジョアン・モリー、マヌ・アレギ、チョミン・バディオラ、カルル・コンゴストなど。これからを期待されるアーティストとしては、マドリッド生まれのダニエル・シルヴォやジョルディ・モラゲスなどが挙げられるだろう。コカ・コーラとペプシの禁じられた愛についての、興味深いストーリーを制作したのは、このジョルディ・モラゲスだ。
本展は、マドリッドの他にも、サンティアゴ・デ・コンポステーラとムルシアにも巡回展として展開される。また、今年11月にニューヨークでも一部作品が上映される予定。
Monocanal
会期:2003年3月7日(金)〜4月6日(日)
会場:Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia
住所:52 Santa Isabel, 28012 Madrid
TEL:+34 91 467 5062
https://museoreinasofia.mcu.es
Text: Terevision Ruiz
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Courtesy Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia © the artists