アヌシー国際アニメーション映画祭 2002
HAPPENINGText: Jeremie Cortial
アヌシー国際アニメーション映画祭は、毎年6月にフランスのアヌシーで開催されるアニメーションを専門に扱う国際映画祭。33カ国から集められたショートフィルムのコンペティションを含む、様々なイベントが1週間に渡りアヌシーの街全体で行われた。カンファレンス、展覧会、スペシャルゲストの招待、野外での無料上映、パーティがノンストップで行われ、もしあなたもこの場に居たら、興奮することは間違いなかっただろう。
今年は実に多種多様な作品が紹介された。6本のフィルムが2時間毎に6日間に渡って上映されたが、全ての映画を見ることはもちろん無理!しかしアヌシーはとても静かな観光地で、湖畔でリラックスしたり、とろけるチーズを食べたりできたことは良かったと言えよう。例えば粘土や切り絵、パペット等といったような伝統的なアニメーション技術が、コンピューターで制作したアニメ作品の横で今でも力強くその存在感を発しているものだということを気づけたのは、興味深い体験だったと思う。コンピューターではアニメを簡単に制作できるだけではなく、アクセスし易いという点もある。一般的なトレンドは時に弱点を見せたり、ドイツの学生が制作した「DAS RAD」(THE ROCKS)で見受けられる熟練した技を見せるような、ミックス・メディアの狭間にあるのではないだろうか。
Left: Popolopompom by Dominique Baillot, france, 2001. Right: How Quest Sought the Truth by Nathan Jurevicius, Australia, 2001.
コンペティションに設けられた「インターネットのためのショートフィルム」というカテゴリーは、他と比べると若干異色の存在だった。全ての作品がフラッシュで制作され、ネット上で公開。それにより誰でも気軽に視聴、投票できる仕組みになっている。しかも嬉しいことに、賞が授与された後でも全ての作品をオンライン上で見ることができるようになっている。
ショートフィルムと言うだけあり、本当に短く「ミニマリスティック・ポポロンポンポン」という作品のように、黒の背景に白い円だけで作られた技術的にもシンプルな作品もあった。「宇宙人の災難」は、スタートレックスタイルの大河ドラマのような作品。セックスしか頭にない4人の科学者達が、いやらしい眼差しを奇怪な世界へと向ける話だ。その他のストーリーはこちらで見ることができる。
Left: Spacemen in Distress by Pierre La Police, france, 2001. Right: Exhibition of Jan & Eva Svankmajer.
MIFA(国際アニメ映画マーケット)は、フィルムメーカー達にとっては、プロデューサーに会い、彼等の最新作を企業団体にアピールできる絶好の場所である。その他にも様々なイベントが用意されていたが、ベクター・ラウンジは、フェスティバル期間中に発生したマルチメディアな出来事を世界に発信する役割を受け持ち、白熱のセッションも開催された。2日間に渡って開催されたこのセッションでは、様々な分野からのウェブデザイナーがフラッシュデザインコンテストに参加し、結果的に大規模なサイトとして完成するアニメーションを制作した。このセッションは次回、シンガポールで開催される予定だ。
ハイテクなものからちょっと離れたい時には、ヤン・シュヴァンクマイエルの展覧会が最適だ。彼はシュルレアリスト(超現実主義)のアーティストで、彫刻、コラージュ、アニメーションを専門に活動している。彼の作品では昔の科学的オブジェとおとぎ話がミックスされており、作品自体がまるで前世紀からやって来たかのようである。ビジュアル的にはローテクだが、そこにある風変わりなアイディアは驚くべくものである。良いアイディア無しでは良いアニメも無い、ということだろう。
Annecy Festival 2002
会期:2002年6月3日(月)〜8日(土)
会場:Cica (Centre International du Cinema d’Animation)
住所:6 Avenue des Iles, 74 013 Annecy Cedex, France
TEL:+33 450 100 900
presse@annecy.org
https://www.annecy.org
Text: Jeremie Cortial
Translation: Sachiko Kurashina