「サイドB・ポジティブ」展

HAPPENINGText: Mlee, Wing Yu Yeung

集められた写真についてもブラシェットに伺った。『応募規定といったものはありません。ポートレートでも、抽象的なものでも、リアルなものでも、パノラマでも色々な種類の写真を持っているか、が重要視されます。そこからみんながどんなアイディアを頭の中でめぐらせているかが、分かるからです。人工的な作られたものなどはありません。人々がポジティブな写真だと思って撮影することが、私にとってはとても嬉しいことなのです。』

ロモ・チャ・チャが出始めた頃に香港で撮影された写真は、どれも暗く憂鬱感が漂うものばかりだった、というブラシェット。撮影者の匿名性も高かった。しかしそれも徐々に明るい兆しを見せ始めたという。『ある意味、コミュニティーに参加しながら成長しているようなものだと思います。最初は緊張して、発言も慎重だけど、徐々に自然体になってくる。そういった感じで、どのアーティストの初期の作品は若干暗い印象を与えるのです。』

『香港のロモ愛好家のほとんどがデザイナーで写真家ではありません。みなさん、かなり真剣にロモで写真を撮ってくれています。台湾では状況が全く違っており、人にフォーカスした作品を撮る傾向があります。これは、アートに関して知識が少ない人が大多数をコミュニティーを構成しているからです。やりがいを感じられない仕事をしている人が、部活に入るようにロモで写真を撮り始め、最終的にはそれが彼等の趣味になっているようです。ちょっとした機械装置を買うようなものではなく、彼等はただシンプルなものが欲しいだけなのです。グラフィックデザイナーとは逆に、彼等の作品はもっと自然体で暖かみに溢れています。』

『日本に関しては…言い辛いのですが日本からの作品がそれほど集まっていないのが現状です。参加率もそれほど高くありません。香港からのものに少し似ているのですが、とても暗い作品が多いです。日本からの作品には、あまり強い感情というものを感じられません。』

『香港の人々は、ストリート・ショットを撮るのが好きなようです。台湾の人々は人が被写体になるのが多いです。彼等はクレイジーな写真を撮りがちです。シンガポールは、多くの人がデザイナーであるところから察すると、彼等はちょっと見栄っ張りなのかもしれません。国によって傾向が違うのはとても面白いですね。』と、ブラシェットは語る。

様々な国でどうロモが使われているかは問題ではない。ロモグラフィーの原則は色である、というのがブラシェットの考えだ。『ロモによって色の新しい発見をすることができます。基本的な色はどの写真でも現れて来ます。色が見えるから、見えないからは問題では無く、私は写真を撮ります。私たちが売りに出しているから、多くのデザイナーや写真家がロモを使っているわけではありません。彼等は、彼等独自のイメージの貯蔵庫を作りたいからロモを使うのです。ロモで独自のイメージを作成することによって、もっと個人的なものになるのです。』

デジタルカメラについてはどう思っているのだろうか?聞いてみた。『個人的には、デジタルカメラは即効的にイメージを撮らえたり、他の人に送信したりするにはとても便利なものだと思います。しかし、同時に嫌いな面もあります。それは、撮ったら消して、また撮っての繰り返しが何度でもできるところです。』『ある人は“君がデジタル・ロモカメラを作ればいいのでは?”と言うのですが、デジタルカメラと勝負する必要が何処にあるのでしょうか?コンピューターでのイメージのバイトを集める、という考えは好きではありません。実際に手を触れることができるアルバムに収められている写真が好き。』というのがブラシェットの考えだ。

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