ソーダ
PEOPLEText: Taketo Oguchi
今月のカバーを手掛けてくれたのは、オン/オフラインで多くのインタラクティブプロジェクトを手掛けるロンドンのソーダ。彼らの代表的なウェブプロジェクトの一つ、ソーダプレイの人工生命体のようなインタラクティブ作品を体験しことのある方は多いだろう。彼らに最近のプロジェクトやロンドンについて伺った。
はじめにあなた自身の自己紹介をお願いします。
エド・バートン。ソーダの中での正式な肩書きはリサーチ・アンド・ディベロップメント・ディレクターですが、小さなグループなので、みんなそれぞれ全部の仕事に少しづつ関わっています。それと、僕はソーダプレイの影に潜む犯人としても知られています。僕の大好きなソーダの活動をみんなに知らせて楽しんでいるんです。ソーダの前は、だらだらと建築の勉強をしていました。デザインや創造性について沢山学ぶことはありましたが、一方で自分が建築家になりたいわけではないと気付いたのです。
ソーダは、どのような活動をしていますか?
ソーダの活動は、インタラクティブに関わるリサーチ、デザイン、商品開発の多くの分野にわたります。大人気のソーダプレイサイトを維持して行きながら、オンライン・トイ、ゲーム、インターフェイスを制作したり、それからクライアントとの方針を話し合ったりと忙しいです。
どのようにしてソーダは、設立されたのですか?
ソーダ設立のメンバーでミーティングを行ったのは、5年くらい前です。ロンドン、ミドルセックスユニバーシティにある、エレクトロニック・アート・センター(CEA)の大学院でのことでした。コースには、優れたアーティストとデザイナーがいて、C言語とJAVAのコンピュータプログラムの書きこみを美らに教える授業が行われていました。僕は、人工頭脳と、子供が絵を描く時の行動について、CEAで研究していました。その時多くの学生が、駆け出したばかりのソーダに先生や僕を引っ張り込もうと口説いていたというわけです。それ以来、ソーダはゆっくり着実に発展し、僕は後ろを振り返ることなくここまでやってきました。
インスピレーションやアイディアはいつもどのようなところから得るのでしょう?
僕自身としては、遊び、つまり自然に身についた経験や発見から生み出される楽しみから、インスピレーションを受けますね。遊ぶことは、僕が仕事をする上でいつも中心に据えられていて、創造的な遊びをしやすい環境に整えることで、仕事も満足できる仕上がりになるのです。
インタラクティブデザインで一番大切だと思うことは何ですか?
判りやすいシステムが、スクリプトよりも大事だと思います。開かれたインタラクションの世界へと導いてくれて、どのように使ったら良いか、反応を示してくれるインターフェイスが、僕のお気に入りです。デザイナーのイマジネーションの限界を超えて、潜在しているインターフェイスの使い方を、ユーザーにどんどん発見してほしいのです。
ソーダコンストラクターの他に、現在制作中のゲーム、これから作ってみたいゲーム、アイディアはありますか?
次世代携帯電話をターゲットにした、とってもかわいいパイプラインのおもちゃが2つ、完成したところです。僕の作品はキュートにでき上がることが多いのですが、この幼稚な傾向を打ち破ろうと、大人のためのゲームにも挑戦しています。そんなわけで、無差別な性が入り乱れるネットワークでつながった、見せ掛けの世界にユーザーを巻き込む、AI(アーティフィシャル・インターコース-人工的交際)の技術を開発中です。
それと、Singlecellでの仕事も継続していきたいと思っています。この人工生物のオンライン動物園で、僕の担当している12月のパートで何をしようかと考えはじめたところです。かなりミニマルな要素をとりいれながら、ユーザーにはそこにいる生物の命を最大限味わってほしいです。
今月のSHIFTのカバーデザインを作る際、意図したことは何ですか?
このカバーは、ソーダとコラボレートしている、プログラマーでデザイナーのティム・ピックアップと、ソーダ特有のフレーバーをこのデザインに付け加えた、ソーダのリードグラフィックアーティスト、スタイン・ジャスタッドが手掛けました。このカバーには、彼ら独自のシンプルなルールに従った素朴な構成が沢山含まれています。これらの要素が作り出すインタラクションは、予想もつかないほど豊かで、様々に現れる行動を生み出しています。システムの持つ、行動に関するプロパティを見つけ出すために、まず遊ばなくてはいけないというのが、すごく良いのです。パッと見えるもの以上に、いろいろなものがありますから。
ロンドンで活動していることについてどう思いますか?
ロンドンに住んでいて本当に良かった。外からは、都会の圧倒的な広がりを見ることができるし、内側からは、近所の人をどこでも見つけられるような村が重なるようにして、沢山あるのを眺められます。ロンドンが好きなのは、地理的条件というよりも、公共の利益によるところが多いですね。
日本についてどう思われますか?
東京に行ってみたいな。イギリスの田舎にある農家で育ったので、大都会に逃げ込むのが夢だったのです。空想上の未来のような場所に、とても憧れていました。きっと、東京は僕が想像していた未来のような場所なのだろうな、と思っています。
今、一番興味があるのは何ですか?
創造すること。それと、プロフェッショナルにあるいは、個性的に生きること。
好きなビジュアル/グラフィックデザイナーについて教えて下さい
論理的だけれども期待を裏切る、というようなシステムが好きなので、僕の目に留まるのは、ジョン・F・サイモン・ジュニアとシュランダージャーズ・スラベラボーの2人です。
最後に今後の予定を教えて下さい。
至る所でコンピューターを使用している資本の世界に、ソーダの活動を持ち込むのにわくわくしています。今のところ、次世代携帯電話に照準をあわせていますが。
コンピューターを使ってすることが、デスクトップから広がり続け、私達を取り巻く世界へと散って行くにつれ、これまで見つからなかった多くの潜在的な創造と遊びを目にすることになるでしょうね。
Soda Creative Technologies Ltd.
住所:2nd Floor, 17-25 Cremer Street, London E2 8HD
TEL:+44 (0)20 7739 6217
https://www.soda.co.uk
Text: Taketo Oguchi
Translation: Naoko Ikeno