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BOLT

HAPPENINGText: Kanya Niijima

ウエアハウス、ナイトクラブ等が密集するサウスオブマーケット地区で、数年前に某出版社主催のアンダーグラウンドなワンオフパーティーに行った時の事。プライベートに行われたこのパーティー、ラウンジルームでは地元のクリエイターやプログラマー達で賑わい、サンフランシスコ・シリコンバレー周辺にありがちな、いわゆるハイテク系のコネ作りをするためのスペースに様変わりしていた。

そんな中で、唯一印象深かったのが、 ダンスフロアに数台設置してあった、インベーダーやピンポンなどの初代テレビゲームの数々である。ここ数年の洗練されたゲームに比べて、これら70〜80年代のテクノロジーがつくりだす、極端に解像度が低いローファイなシンプルさと、単調で反復的なゲーム構成が、フロアでかかっていたトランシーなテクノに妙にシンクロして、すっかりハマってしまったのを覚えている。

そんなオールドスクールのゲーム達をサブカルチャーとしてプロモートしているグループがある。サンフランシスコをベースにして活動している BOLT (The Bureau of Low Techlonogy) は、その一つで、1997年に設立されて以来、地元のレイヴをはじめ、多くのアート・ミュージック関連のアンダーグラウンドなイベントで、ユニークな活動を展開している。

「BOLT Gaming Lounge」と名づけられたプロジェクトでは、それぞれのイベント会場にて、ATARI、INTELLIVISION、AMIGAなど、一昔前のローテク・コンピュータを展示し、大型プロジェクターに映されたゲームを自由にプレイできるような構成をオーディエンスに提供している。

最近では、8月末に開かれたイベント「MECH 2K」をプロデュース。以前紹介した「FUTURE BREAKS」の専属DJ、PUSHをはじめ、多数のローカルドラムンベース勢が、それぞれのミックスセットを披露する中で、100台以上のオールドスクールなビデオゲームを設置するといった、まるで80年代のゲームセンターと99年版のナイトクラブを融合させたような興味深い環境をつくりあげた。

今では全くレアな存在となってしまったこれらのビデオゲームを眺めていると、ノスタルジックな懐かしい気分に入るといるよりも、むしろ新鮮味を覚えるから不思議なものである。多くのゲームが3D化し、ますます複雑で高性能になっているこの時勢、シンプルに動くこれらクラシックゲームのキャラ達は、現行する方向性に対しての、いわばアンチ的なオリジナリティーをかもしだしている。

Text: Kanya Niijima
Photos: Pete Schlepphorst

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