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第59回 ヴェネツィア・ビエンナーレ

HAPPENINGText: Ilaria Peretti

長引くパンデミックが世界を停滞させている。そのために一年延期されていた第59回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展が、2022年4月23日に開幕した。


Giardini of Biennale, Photo: Andrea Avezzu

今回のヴェネツィア・ビエンナーレは、ニューヨークのハイライン・アート(2011〜)のディレクター兼チーフキュレーターで、2017年イタリア館での展示「II Mondo Magico(魔法の世界)」のキュレーターを務めたセシリア・アレマーニによってキュレーションされている。タイトル「The Milk of Dreams(ミルク・オブ・ドリームス)」は、シュルレアリスムのアーティスト、レオノーラ・キャリントン(1917〜2011)のおとぎ話にインスパイアされている。ここでは、幻想的で不合理、不思議な様相が、移り変わりや変容、変異のコンセプトで広がって想像力の余地を与えている。

本ビエンナーレは、『人間の定義はどう変わっているのか?』という疑問のもと展開されている。地球上での私たちの役割、他者や自然への関係、私たちの責任についての深い考えを展示会場で見ることができる。このインプットから始まり、セシリアは5つの小さなテーマの展示を創り出している。ビエンナーレのために特別に制作された歴史的な作品や、現代アーティストによる作品が、3つの主題「身体の表現とその変容」「個人とテクノロジーとの関係性」「身体と地球とのつながり」に分かれてエリアを配置している。


View of the exhibition, Photo: Roberto Marossi

今回、58か国から200を超えるアーティストが参加し、127年以上のビエンナーレの歴史の中で初めて、女性アーティストとノンバイナリーの人々が大多数を占めている。これは、アートの歴史の中で、男性の役割の集中から慎重な縮小化を行ったことを反映した選択であると言える。絵画、写真、グラフィック言語が優勢である一方で、インスタレーションや彫刻の規模は、優れた視覚的インパクトのある作品にのみ与えられている。デルシー・モレロスの「Earthly Paradise」(2022)によるキャッサバ粉、カカオパウダー、スパイスを混ぜて作られた大規模な地球のブロックや、プレシャス・オコヨモンによる庭園などがある

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