マーケット・アートフェア 2021

HAPPENINGText: Victor Moreno

スウェーデンが、COVID-19のために施行した全制限を解除する約2週間前の9月17日から19日にかけて、今回で15回目となるマーケット・アートフェアが開催された。マーケット・アートフェアは、ストックホルムで開催されるインデペンデントのアートの祭典で、35のアートギャラリーがスカンジナビア出身のアーティストに限定して出展するのが特徴だ。出展するギャラリーも、イギリスとドイツのギャラリーを除いてすべてスカンジナビアのギャラリーである。

本フェアは、かの高名なリリエバルク美術館で開催された。リリエバルク美術館は、毎年行われる春のサロンで有名であり、新別館リリエバルク・プラスを先日オープンしたばかりだ。リリエバルク・プラスは、前衛的な意匠で船の積み荷のようなかたちをしており、2,000m2以上の敷地面積を持つコンクリート造の建物である。


Andréhn-Schiptjenko, Photo: Jean-Baptiste Béranger

今回のマーケットアートフェア2021は、今年の春以来、批評家が非常に強く待ち望んでいたものだ。火付け役となったのは、「マーケット・トーク:アーティスト・ファースト」と呼ばれるトークシリーズ。リリエバルク美術館でのトークイベントを皮切りに、並行してデジタル展開も行われた。スカンジナビアの最重要アートギャラリーが1年以上ぶりに再び集結するのに、雰囲気作りは十分だ。もちろん、追い風なのは雰囲気だけでなく観衆もしっかり答えてくれており、チケットは2日で完売した。


New Enter Image III, Belenius, Photo: Jean-Baptiste Béranger

さらに今回のマーケット・アートフェアは、いつもの口コミだけでなく、デジタル配信の重要性を強調するという方針をとった。マネージメント監督のサラ・ベルナー・ベングトソンと芸術監督のジョセフィン・ヴァン・デ・ウォールは、本フェアを、イベント開催中だけでなくデジタル環境を通じて、どこででもハブとして機能する、スカンジナビアの独立したアートシーンにとっての確固たるプラットフォームとして確立させることに多く注力してきた。


Sara Berner Bengtsson. Photo: Jörgen Brennicke

『マーケット・アートフェアは一年中提供されるべきです。デジタルでの参加を増やすことは、フェア開催期間以外でも利用可能にする第一歩です。私たちは、このプラットフォームを用いて、今日の現代美術のアイディアや潮流、そして文化的な議論のレベルを引き上げる強い意志を持っています。その一環として、今年だけでなく来年以降のフェアでも、私たちが推進力であり開拓者でありたいと思い、サステナビリティ活動を行うようになりました。』とベルナー・ベンソンは説明した。

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