鈴木将弘

PEOPLEText: Ilaria Peretti


Un paysage de peintures No. 10 : nomade (A landscape of paintings : nomad)
 View of the exhibition Sud Magnétic, Recomposition of series Assemblage made during stays in Clermont-Ferrand, Luckau and Cérilly, Variable dimensions, 2019, Vidéochroniques in Marseille © Masahiro Suzuki

その足跡について一つ質問させてください。いまスタジオで目にしているその縦長の絵画やインスタレーションは特別な場所を指しているような…まるで立石の偽姿を表している風に見えます。この作品に与えられた機能とはそのようなことでしょうか?

いい解釈ですね!ある意味正しいと言えます。私は自分の作品に自主性と主体性を付与したいと思っています。アーティストにとってありきたりな言葉かもしれませんが。でも、ずっと絵を描いてきて、いまも描き続けていて、絵はそれだけで存在しているんだと気づかされました。何もスピリチュアルな思想に持ち込みたいわけではないのですが、絵はすでに“何か”を持っている気がしてならないのです。それは生物ではなく、個としてたしかに存在している。だから絵を描く者として、その“何か”を機能させようと思うんです。周囲の風景との対立を探すのではなく、色々なかたちの調和を探求しているから。


Peinture debout No. 6 (Stanting picture) 
White cement with white sand and pigments from Roussillon (Usine d’ocre Mathieu), lime, clays from Richeaume and Ste.Victoire, Poudingues de la Galante (marbles from Ste.Victoire), 240×60×60 cm, 2017. Voyons Voir at Domaine du Défend in Rousset © Masahiro Suzuki

あなたにとって“アーティスト”とは、職業、夢、あるいは自己表現へ到達するまでの道のりだったりするのでしょうか?

最後に挙げられたのが一番合っています。この質問についてはよく自問自答しました。私にとってアートは、時間の経過や自己の成長とともに醸成された人間活動なんです。

最後に、今後のプロジェクトの展望を教えていただけますか?

今年は他のアーティストたちとのコラボレーションが豊富な一年になりそうですが、特に研究と試行錯誤が多いと思います。秋にはモンリュソンの「シェイカーズ」というアーティスト・イン・レジデンスに参加し、草木染料の生産団体と共同研究をする予定です。色をつくり出す工程に着目し、自然という側面からより深くアプローチしたいです。例えば、いまは藍色をつくり出すために発酵という工程を組み込む実験をしています。

Text: Ilaria Peretti
Translation: Hikaru Nakasuji
Photos: Courtesy of the artist, © Masahiro Suzuki

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