丸尾結子

PEOPLEText: Seiichi Endo, Mitsuka Kimura

そして今回の「PULSE」ではこれまでの作品作りでだんだんと色濃くなってきた、作品の内側をもっと意識してみるとか、その作品固有の存在感の中にある、たとえば「命のようなもの」に触れてみたくなりました。

最近、身近な人が亡くなったのですが、この経験を通じて、私自身が命を与えられているのだということや、周囲で起こる様々な出来事に影響されながら今を生き続けていること、そうやっていろいろなエネルギーが響き合っている、とそんなふうに思えてきました。

そこには「命」という存在と「生きる」という無意識な強い思いがあって、その両方がちゃんとあることを実感させてくれるのが鼓動、「PULSE」です。私が作品を生み出すたった今から、その先へ、カラダの内側で生まれ、脈打ち続けるビートとしての「PULSE」が、カラダの外へバイブレーションを放ち、他の何かと共振し始めてしまうような、そんな感覚に出会いたいと思いました。

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「PULSE」丸尾結子, 2017年, 石粉粘土、ミクスドメディア

「PULSE」のコンセプトを表現するため、石粉粘土を選んだ理由は?また、最近の作品は着色が見受けられますが、色の選び方と表現の関係についてお伺いできればと思います。

これまでアニメーションでは油粘土を使用したり、益子焼きの窯元のご協力を得て焼き物(陶芸)への取り組み、また大型の作品ではFRPなど様々な素材で制作する機会がありましたが、それぞれの素材にそれぞれの個性や面白さ、自分にとっての可能性があると感じています。

ここ数年で主に使っている石粉粘土は、作り始めてから最後の仕上げまでを自分の手の中でできることや、手で直に感じる感触、作っているまさしくその瞬間の独特の感覚に頼りながら仕上げることができるという点で気に入っています。また、白くキメの細かい質感や柔らかくしなやかな曲面が生み出す有機的な印象も表現したいイメージとフィットしているようにも思います。

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今回の「PULSE」シリーズの作品では、結果的にこれまでの表現より細かく、繊細な仕上げの箇所も多くなりました。これは作品それぞれの「命のようなもの」の儚さや脆さ、同時に強さや激しさ、しなやかさなどが微妙に、そして複雑に絡み合うのを感じていて、それに迫りたい、表現したいという思いがあったからだと思います。

作品の形がだんだんと見えてくると、まさにその瞬間、瞬間に細部を手の感触で確かめながら、ユニークな「PULSE」との出会いを感じる。これを無意識に何度も繰り返すことができたという点でも石粉粘土が向いていたかも知れません。

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「After Gooskanpi “Goonie”」, 丸尾結子, 2013年, 石粉粘土

彩色と色使いについては、2012年頃に制作した「Goonie」や、2013年頃の「Jamnical Parramo」シリーズなど具体的な背景となる物語のある作品は、それぞれにも具体的な色のイメージがあって、スケッチでは実際に彩色したりもします。でもこれを実際の造形作品として作り上げるときは、たとえばそれは「Goonie」そのものというより、「Goonie像」といったニュアンスにも似た感覚があって、一体の像のその奥にあるストーリーや世界観を漂わせる「余白」の様な役割・意味として「色彩を用いない」白いままの仕上げが心地よいと感じていました。

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