瓜生太郎

PEOPLEText: Ayumi Yakura

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cyan」2015年, clubFm 取扱作品

瓜生さんの肩書きはイラストレーターですが、図形的描写はグラフィックデザイン的であり、シャガールやマティスなどフランスの近現代美術を想起させるようなラフなタッチの作品もありますね。描き始めた頃から現在のような作風だったのですか?

描き始めたころは、杉浦茂(漫画)や初期のウォーホル(ファッションイラスト)が好きで参考にしたりしていました(手描き)。それら+αをさんざんこねくり回していくうちに(フォトショップ、ペンタブレット)、自分は「単純化」したいのだと気づいて、その極致であるグラフィックデザインのエッセンスを多分に取り入れるようになりました(イラストレーター、マウス)。

現在の作風は、漫画+ファッション+グラフィックデザインの結果と強引に言ってしまってよいと思います。(ラフなタッチのものについては、+αの脇道で鉛筆で描いたドローイングをグラフィックに置き換える試みで生まれたものですが、おっしゃる通りマティスらの影響を強く受けていると思います。)

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雑誌「HAIR MODE」のコラム「Permanent Wave」掲載作品, 2015年

これまでのご活動で印象に残っている体験や、影響を受けたモノはありますか?

「ヘアモード」という美容師向け専門誌(月刊)で、美の歴史を振り返るコラム(お堅~い内容)のイラスト&デザイン経験がその後の創作姿勢に強い影響を与えています。髪型ひとつスカートのふくらみひとつにも時代背景が関係しているため、うっかり嘘を描いてしまわないよう(&ネタ探し)むかしのファッション全般を毎回調べまくっていました。そのうちに「形の意味」を小難しく考える癖を会得し、次の質問にあるような豆知識にもアンテナがぐんぐん伸びてしまうようになったのだと思います。

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「#Gap今日は何の日」担当9回目アートワーク, 2016年, GAP Japan

インスタグラムを拝見すると、「#Gap今日は何の日」に限らず、ご自身のイラストに様々な豆知識が添えられていて面白いですね。

イラスト自体はとことんぶっきらぼうでありたいのですが、なかなかかっこつけ通すことが難しくひょっこりおしゃべり好きが顔を出してしまいます。食後のデザートのような感じで別腹で楽しんでもらえるとうれしいです。

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「tEIEN」2016年

これからの目標があれば教えてください。

3メートル、5メートル、10メートルとどんどん大きなものに挑戦していきたい(プロジェクションマッピングとか大仏的なものとか)です。現時点では、お金も技術もコネクションも何一つないただの夢なので、何かの広告やイベントの企画等のお声がけを大いに期待しております!

Text: Ayumi Yakura

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