リオ・ネグロ

PEOPLEText: David Gray

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホやアン・セクストンのようなアーティストがどのようにストックホルムのEMSレコーディング・スタジオまであなたを導いたのでしょうか?

以前言ったように、これは大掛かりな計画でありませんでした。一つの事が自然ともう一つのことに結びついたのです。EMSは60年代にスタートし、かつてはスウェーデンのナショナル・ラジオの一部でした。それから付随的にスタジオが始まり、現在はアーティスト・イン・レジデンスや電子アコースティック・ミュージックの実験的作曲などをサポートする非営利団体によって運営されています。6つのレコーディング・スタジオには最新鋭の機材が入り、ドン・ブックラ(彼は実は二週間前に亡くなってしまったのですが)という人物により発明されたレアなヴィンテージ・モジュラー・シンセサイザー「ブックラ」まで備えているのです。いずれにしても、私が詩のシリーズを音楽に入れようとするアイディアを彼らは気に入ってくれて、レコーディングの時間を与えてくれ、サウンド・テクニシャンのサポートをしてくれたのです。感激しました。

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Recording Session in Stidio 5 at EMS Photo by Victor Moreno © 2015

ギターとシンセサイザー、そして異なるタイプの電子音をミックスしたのは、アナログとデジタルの音楽をミックスして電子アコースティック・ミュージックを作るためのあなたのアイディアだったのですか?

まさにそうです。このようなことをやったことがなかったので、このようなインフラを私自身が使って作るプロジェクトは、私にとって大きな挑戦でした。基本的に一つのスタジオでアナログを録音し、ミキサー・コントローラーを起動させている他のスタジオに持って行く。行ったり来たり、部屋から部屋へ、こんな作業を一人で行うのはクレイジーでしょう。だから誰か最終のミキシングをやってくれる人が欲しかった。それで、マドリッドに住む友人ジョージ・ナヴァロ(Nomads OST)に頼んだのです。彼なしではここまで完成度の高い作品には仕上がらなかったでしょう。最適なやり方を模索して、私のレコーディングを進めてくれた彼には本当に感謝しています。

EPには4つのトラックがあり、私はそれぞれに個性を持たせたかったのです。そこで、世界の中の友達に各トラックのマスタリングを頼みました。彼ら自身のプロジェクトや他のアーティストとの仕事に入っていたかもしれませんが、協力してくれた彼らは本当に素晴らしい才能の持ち主です。Googleで Oliver Ackermanm (オリヴァー・アッカーマン)、Björn Hansell(ビヨルン・ハンセル)、Johannes Buff(ヨハネス・バフ)と調べてみてください。彼らが一緒に働く素晴らしいアーティスト達が出てくるでしょう。彼ら、本当にすごいのです。EPに全体的なビジョンがあるとしても、各トラックと詩はそれぞれのキャラクターとアプローチを持っています。

どのようにしてこのプロジェクトに、こんなにも有名な面々のサポートを得たのですか?

とても興味深いですよね。私は何年も多くのことと葛藤していました。私的なことと、仕事のことと。いつもそれは一筋縄ではいかないのです。解決したと思うと次がある。そんな時、「星降る夜」の詩は何か特別なものを気づかせてくれて、それが旅の始まりだったんです。それはやっとたどり着いた良いカルマみたいなものでした。後に私がリオ・ネグロについて仕事上の相手に伝えた時に、彼らはとてもポジティブで協力的でした。例えば、EMSの人々はただただ素晴らしかった。彼らは大いに時間を割いてくれたし、この素晴らしい経験を記録するために、EMSでのレコーディングを撮影したいという私のリクエストについても快く了解してくれました。そして、もう一人、とても仲の良い友人、クノータンを2つのセッションに迎えられたことも幸運でした。彼は有名なスカンディナビア人のミュージシャンについての素敵なドキュメンタリーを作っていました。彼はティーザー的な映像をこのプロジェクトで発表して面白いキックオフを作りたかったのです。

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Upon The Ocean Stripped. Handwritten by Victor Moreno © 2016

あなたは私的な葛藤についても述べていましたね。それらは音楽やどれか特定のトラックに反映されているのでしょうか?

私はこのEP全体を、ショウのような場でのパフォーマンスを視野に入れた一つの創作物として考えています。でもアプローチはとても包括的です。他のミュージシャンを巻き込むことも考えています。実のところ、私はこのEPを、音楽的、ビジュアル的に何人かのクリエイターたちと作り上げていく共同プロジェクトして考えています。私的葛藤の一例として挙げられるのは、「Upon The Ocean Stripped」というトラックです。アフリカ、タンザニア沖のザンジバルの島で休暇を取っていた時の経験から生まれました。

この日の不思議な朝のことを今でもはっきりと覚えています。太陽は水平線の上でオレンジ色に輝き、波が行き来する真っ白な砂の上にチラチラと光を落としていました。スピリチュアルで静かな感覚。その日、サンセットのちょうど前に、私は同じ海岸を散歩に出かけました。潮が引いて、海は文字通り消えていました。サッと、消えてしまったのです。海のあったところには砂浜が広がっていました。この非永久の感覚に私は感じたのです。どんな物事も同じではいない。あなたが信じる物事も人生の中で瞬く間に変化する。それから、私は彼女に出し抜けに振られることになるのですが、その時はそうなるとは知りえませんでした。

ですから、「Upon The Ocean Stripped」はとても私的な経験を捉えているわけです。この後、私は永久ということや人生において私たちが気にかけることについて、もっとポジティブな方向へと向かう「Lodestar」を書きました。その詩は、人生の中で恋愛や死や、友情など何においても、あなたの味方をする人々を称える内容です。

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