文化庁メディア芸術祭 20周年企画展「変える力」

HAPPENINGText: Kengo Michizoe

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第13回 アート部門 大賞 「growth modeling device」David Bowen

第13回にアート部門で大賞を受賞した、デイヴィッド・ボウエンによる「growth modeling device」。この作品は成長する玉ねぎをレーザーによって測定して3Dスキャンニングを行い、さらにモデリングしてリアルタイムに3Dプリンターで複製していく動的インスタレーションである。玉ねぎの存在感がとても強く、芽が育つさまも生々しく、装置の動きもアナログ的。立体的にアーカイブしていくという行為そのものがデジタル化されていて、アーティスティックに表現されている。このシステムは観察者と創造者の役割を果たし、変わりゆく生きた対象物を限定的かつ機械的に投影したオブジェを創りだす。単純なレーザーの目を通して、有機的に活動しているものを実を結ばない複製品に変え、自然を工業素材で再生しようとしているように思える。

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第14回 アート部門 優秀賞 「NIGHT LESS」田村友一朗

第14回にアート部門で優秀賞を受賞した、田村友一朗による「NIGHT LESS」。全編が、グーグル・ストリート・ビューのイメージだけで構成されたロードムービー。前半は作家本人のアフレコ、後半はYouTubeの音声などを使用して構成されている。画面に映る景色はネブラスカ、千葉、アラスカ、ポルトガル、マルセイユを舞台に、都市と国を超えてひたすら前進し、物語は繰り広げられていく。物語に決して夜は訪れない。昼間にしか撮影できないストリート・ビューにちなみ、「NIGHT LESS(夜のない)」というタイトルがつけられている。撮影をせずに作られた映画は、果たして「映画」といえるのだろうか。淡々と移り変わる景色を見ながら、そのような問いを感じさせる作品であった。

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第17回 マンガ部門 優秀賞 「ジョジョリオン」荒木飛呂彦

第17回にマンガ部門で大賞を受賞した、荒木飛呂彦による「ジョジョリオン」。「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの第8部は、物語に2011年に発生した東日本大震災を取り込んでスタートする。M県S市杜王町。震災で隆起してできた土地で一人の青年が発見された。記憶を失っていた彼は「東方定助」と名付けられ、自らの素性を探り始める。緻密なストーリー構成、超能力を目に見える形で表現した概念「スタンド」によるバトルに加え、サスペンスにも更なる磨きをかけ、多くの読者を惹きつけている。

1990年代の半ば、コンピューターやインターネットが世間で認知されはじめた頃に、メディア芸術祭はスタートした。それから20年。PCやスマートフォンの普及によるテクノロジーの発達、文化や社会状況の変化などの影響を受け変容するメディアアートの多様な表現をメディア芸術祭は紹介し続けてきた。メディア芸術祭の特徴は、海外では早くから、ジャパニーズポップカルチャーへの評価がされてきた、日本のアニメやマンガ、大衆文化から生まれる作品群を「メディアアート/芸術」という新しい視座を日本の人々に気づかせたことだろう。

「変化」をキーワードに掲げる本展では、文字通り各回ごとの受賞作品の傾向からその時代の社会状況、テクノロジ―やメディアの変化を読み取ることができ、その延長線上に現れる日本のメディア芸術、ひいては、ワールドワイドなメディア芸術の未来について考えるきっかけとなったように思う。

文化庁メディア芸術祭20周年企画展―変える力
会期:2016年10月15日(土)~11月6日(日)
メイン会場:アーツ千代田 3331
時間:11:00~19:00(入場は閉場の30分前まで)
住所:東京都千代田区外神田6丁目11-14
サテライト会場:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]、UDX THEATER、国立新美術館、千代田区立日比谷図書文化館
※開館時間、休館日は会場によって異なる
入場無料
問い合わせ:文化庁メディア芸術祭事務局[CG-ARTS協会内]
TEL:03-3535-3501(平日 10:00〜18:00)
http://20anniv.j-mediaarts.jp

Text: Kengo Michizoe

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