オコイマツ

PEOPLEText: Ayumi Yakura

あなたが文房具屋のペン売り場で試し書きした線が、知らないうちに彼女が描くアート作品の一部になっているかもしれない。

『自分や他人が意図していない部分にこそリアリティがある』というオコイマツは、他者が何気なく試し書きした線を集めて模写・転写することで、ロンドンや東京など様々な都市の風景を描きだす。現在、クロスホテル札幌で個展「誰かのあとで少し見える#2」を開催する彼女のリアリティを求めて、これまでの活動や作品についてインタビューを行った。

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「試聴だけで3度変わるー1度目、もしくはロンドン」2016年, 1,120 x 1,450 mm, キャンバスに油彩

まずは自己紹介をお願いします。

幼少期から大学まで東京で育ち、その後ロンドンでアートを学びました、Okoimatsu(オコイマツ)と申します。よろしくお願いします。北海道札幌に移住したのは4年前です。

アーティスト名の由来は何でしょうか?

北海道のアイヌ民族の女性の名前をお借りしました。「マツ」というのはアイヌ語で女という意味があり、日本の女性名の最後につく「子」にあたるそうです。また、私の母親の旧姓が小松(コマツ)と言いまして、母方の祖父がやっていた自動車修理工場の地面にロウやチョークで落書きしていた幼い頃、無意識に目に入っていた「工場内の風景や道具工具が山積みになっている様」が、今思うとイメージの源泉になっているなと感じるので、この名前にしました。

「加速する風景のみなもと」2014年, 石山緑地(札幌軟石の採掘跡地), 札幌, ミクストメディア

東京の多摩美術大学大学院を卒業後、ロンドンのチェルシー・カレッジ・オブ・アート&デザインに留学して、印象に残っている体験を教えてください。

ロンドンの美大での2年間は色々な意味で濃厚でした。イギリス人だけではなく、4割近くはヨーロッパ、アメリカ、アジアなど各国からの留学生がいて、国際色も豊かでした。1学年に3〜4人はゲイの男の子が居て、彼らは人間的にも作る作品も魅力的で心根が優しくフレンドリーなので、最初に友達になってくれたのは彼らでした。

大学のカリキュラムは中々ハードでしたね。日本の大学は比較的放任なのですが(今は違うかもしれません)ロンドンでは頻繁に講評会があって、学生同士で作品の講評をします。イギリスでは議論をすることがとても大事なので、ツッコミが厳しい時も多々あり、泣きそうになった事も(笑)他大学も含めて、皆とても面白くパワフルな作品を作っていて刺激的でした。

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「C on a journey」2010年, 230 x 280 x 260 mm, 紙やすり・ゴム・鉛筆

MA修了後から帰国するまでの4年間は、ロンドンでどのように過ごしていましたか?

修了展で発表した作品でアートフェアに参加させて頂いたり、紙をメディアとして扱った作品などのテーマ企画展に参加したりと、制作・展示活動をいくつかしつつ、友達とパブでビールを飲む毎日でした。イギリスはコンビニの数よりパブの方が多いと言われていて「何はともあれ、オチはパブで」という感じです。家はハウスシェアが普通なので、キッチンでも集まればビールかワインかウィスキーコークが出てきます。鍛えられました。


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