アウトを言い渡されたアート ー社会に切り込むアーティストたち。アートを前進させるには。

HAPPENINGText: Yoko Akiyoshi

作田:会社として一貫しているように感じますね。もっとも、プライベートスペース以外での展示が難しい例もある一方で、商業的な作品も美術館で展示する場合も増えてきていますし、(企業の)線引きも揺れていると思います。

会場からの質問:お二人にタブーはありますか?

岡本:犯罪行為はしない。器物破損などはしない。法と定まっていることが正しいかどうかは別問題ですが、グレーゾーンをいじれるのがアートです。

稲岡:法自体が時代によって移ろいやすい。縛られて自分達のやりたいことできないのは困るので、どうしても抵触するようなことが出てきたら、その結果を考え、それでもやる価値があるかメンバーで何度何度も話し合います。

質問:岡本さんの台湾プロジェクトは、台湾で中立的な考えが浸透してきた時期と重なっていますし、チン↑ポムの広島のプロジェクトは原爆の記憶をどう伝えるか転換点で、さすがアーティストは社会情勢の機を掴むのがうまいなと思いました。広島と台湾のプロジェクトは今後も引き継いでいくのでしょうか?

HIROSHIMA!!!!!
Chim↑Pom「広島!!!!!」展, 旧日本銀行広島支店(広島) © Chim↑Pom, Courtesy of Mujin-to Production, Tokyo

稲岡:公募展授賞式の時に「原爆だけはやるなよ」と言われましたが、広島で展示をやるとなると考えざるをえない。「原爆を知る人やリアルに発言できる人がいなくなってからやればいい」という考えもあるのでしょうが、それは一番良くない。今やらなきゃいえないなと思いました。展示中止になりましたが、その後も広島に「ピカッ」のことを考えてくれる人達がいて、広島での展示実現に向け何度も広島にチン↑ポムを呼んでくれたギャラリーの人、大学関係の人、カフェやその他色んな職種の人などの助けがあり、旧日銀で展示できることになりました。「チン↑ポムに発表の場を与えるんだ」と地元の思いが嬉しくて。発表に関しては一区切りついています。あとはアメリカに乗り込むだけ。ワシントンDCでやれたら面白いんじゃないかな。

岡本:台湾に関しては陳さんが亡くなられてしまって。あのプロジェクトは陳さんに捧げるつもりでしたから終わっています。反対運動も強かったけど、グーグルマップを見たら、まだ残されていて嬉しかった。一方的に批判する人もいれば必ず味方も現れます。

質問:私設スペースを持っていない人達、尻込みしている人達にアドバイスはありますか?

稲岡:心配するまでもなくスペースはなくとも企画を持ち込んだりする人いますし、また違う流れがちゃんと出てきます。悲観はしていません。

作田:「悲観するな」と。

岡本:逆にやりがいになると思います。僕はつぶされた経験もあるけど、スルっと作品が展示されるより、逆に言えばやりがいがある。変えるべきことがある、ぶつかることがあるのは面白い。反応あるって幸せなこと。裁判とかは嫌ですけどね(笑)。

岡本光博 × チン↑ポム 稲岡求 × 作田知樹
「アウトを言い渡されたアート ー社会に切り込むアーティストたち。アートを前進させるには。」

日時:2016年1月16日(土)18:00~20:00(17:30開場)
会場:青山ブックセンター本店内 大教室
住所:東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F
定員:110名
料金:1,944円(税込)
TEL:03-5485-5513(青山ブックスクール)
https://www.aoyamabc.jp

Text: Yoko Akiyoshi

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