アウトを言い渡されたアート ー社会に切り込むアーティストたち。アートを前進させるには。

HAPPENINGText: Yoko Akiyoshi

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岡本光博「UFO -unidentified falling object(未確認墜落物体)」, 展覧会「化け物」, 青森県立美術館, 2015, 3600 x 3600 x 890 mm, 塩ビシートに油性インク, 木材ほか

岡本:3点ほど最近の仕事の紹介と社会との関わりを意識したきっかけの作品について話します。まずは、青森の「化け物」展での展示作品「UFO ー未確認墜落物体」です。化け物というテーマを考えていた時に下見に行くと、UFOが落ちたという噂がありました。噂を作品にすることをひらめきました。未確認の作品として言葉遊びとしてやりたかった。学芸員さんが敷地内を掘る許可を取ってくれました。ぎりぎりになってN社の許可が要るかどうか確認されました。展示の一週間前にも再び確認されたので、作田さんに相談すると、「リスクゼロではないが、許可を検討するレベルの内容かは疑問で、美術館という場所の役割を考えるとびびってるほうがおかしいと言えるかもしれない」という内容の返信をいただき、その後も何度も使わせてもらいました。ありがとうございました。展示できましたがN社に確認はしておりません。

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岡本光博「モレシャン」2015, フレコンバック, マネキン,「目玉」パーツ

去年は福島のいわき市からオファーがあり「モレシャン」を作りました。現地の人の痛みを本当に理解できると思わないので避けていましたが、福島のことはいつも頭にあったので、ようやく向き合えると思い取り組みました。「モレシャン」は、福島の方にひんしゅくを買うかと心配しましたが地元の人からも案外温かく見守ってもらって。人気が出て子供たちが飛びつき倒れてしまったので、展示しているビルから強制的に柵を置かれました。ださいのでその上に放射能マーク入の黄色いテープを貼りました。下見に福島に行くと、黒い汚染廃棄袋から枝が突き出ているなど、杜撰な状態でした。ちゃんと管理できているとは思えなかった。これ(モレシャンの目玉)は、シールなんですけど、シールが勝手に張り付いてしまって。ほとんどはすぐに風で飛んでいってしまった。(作田氏を見ながら)大丈夫ですよね?

作田:シールが飛んで行ってしまったんですか(笑)。破いたりしていないし器物損壊にはならないでしょう。

岡本:「モレシャン」は来年もがんばって人気キャラにしていきたい。よろしくお願いします。3点目はドイツにレジデンスしている時です。ちょうどユーロが始まりました。そこでドイツのコインをぶち抜いて指輪にするという「ユーロリング」という企画をやりましたが、これはがっつり違法行為です。アートセンターでの展示はアウト。ですが、アートセンターのアドバイザーが擁護してくれて、「アートとは、政治、経済、法律などよりも上位に位置するもの。私が責任取りますからやりましょう」と。目からうろこでした。この経験は今につながると思います。

作田:ドイツらしいというか。ヒントになることがありますね。(モレシャンの)風でシールが勝手にくっついたとか、アーティストはなんでもやるんだという姿勢は、作家はもちろん展覧会を運営する側にも、タブーのような問題を扱う際の拠り所になっている、という側面もあると思います。「ピカッ」に関してメイキングも含め、どういう経緯で問題になったか教えてください。

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Chim↑Pom「ヒロシマの空をピカッとさせる」2008, © Chim↑Pom, Photo: Cactus Nakao, Courtesy of Mujin-to Production, Tokyo

稲岡:広島の美術館の公募展で大賞をとり、翌年に副賞で展示させてくれることになりました。「ピカッ」の計画について色んな所に事前に交渉するという手段もありましたが、市に対してこのプランは通らないだろうと美術館のキュレーターは考えて、制作は法律には触れないし一瞬の出来事になるだろうと判断しゲリラでやる事になりました。翌日、新聞に苦情の問い合わせがあり、地元の主婦が撮ったとゆう信じられないくらいきれいな写真を投稿していて、この問題が一気に広がりました。飛行機雲は書いたそばから消えていくような状況だったので、そんなすごい撮影を主婦がやったのかと別の意味で驚いたんですが(笑)。右翼団体のようなところからも電話が殺到し、最終的には謝罪会見を開かなければならなくなりました。

作田:謝罪させられたのですか。

稲岡:そういう言い方では語弊があります。この作品で「不快になる人はいるだろう」と予想はしていました。「これアートですから」と謝らないのも違うとメンバーと話し合いました。アートは言い訳になりません。「アートだから何をやっても関係ありません」とはいかない。できるだけ意図や作品の説明をして、歩み寄れるところを探したいと思いました。なので作品を実行した事全て謝るのではなく、あくまでも不快になった被爆者やその家族と関係者に事前に告知する事を怠った事を素直に謝りますという態度でした。

作田:この記事をネットで見ましたが、新聞の見出しで「芸術家“平和訴え”飛行機で描く」と書かれました。

稲岡:会見で平和を訴えたいとコメントしたわけでありません。自分たちが言いたいことより新聞社がイメージするストーリーがあったと思います。「平和」だけを言いたかったわけではないんですが、結果的にはそういう書き方をしていました。

作田:謝罪会見のあと、地元の方々と様々な接触がありましたね。顛末を本にした以外に形にしましたか?

稲岡:広島での展示が中止になったので、東京に戻って何カ所かで展示しました。被爆者団体の方に来ていただき話をしてもらうこともありました。 原宿での展示で話をしてくれたのが被爆者団体の中でもカリスマ的な人で、普段原宿でしかも被爆者の話を聞きにくる事が無い様な沢山の若い人が集まってくれた事にとても感動していました。

作田:チン↑ポムにとって大きな出来事だったんですね。

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