フリーズ・ロンドン 2015

HAPPENINGText: Yuko Komiyama-Folan

アイ・ウェイウェイの初の回顧展がロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで(「高らかに」と付け加えたい人もいるだろう)スタートしたと同時に、早くもアートのざわめきが今年もロンドンにやってきた。

ロンドンでは、この中国人人権活動家の入国ビザをイギリス政府が拒否したことばかりでなく、明確な理由もなく中国政府さながらに彼のパスポートを押収するという馬鹿げた事件がスキャンダルとなっていた。ロイヤル・アカデミーのコートヤードでは、「木」のシリーズが展示されていた。魅力的な枯れた裸木の林は、この街を熱狂させる現代アートと商業の世界へ誘うプレリュードとして、ふさわしい作品だった。

いつも通りゴージャスなVIPのためのプレビューは上映、レセプション、オープニングとエキサイトした空気の中、執り行われた。

Ai Weiwei, Tree, 2009-10, 2015
アイ・ウェイウェイ「木」2009-2010年, ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ ロンドンでのインスタレーション Photo © David Parry

もっとも期待されていたのは、ガゴシアン・ギャラリーがメイフェアで行った「大きな」オープニングだった。それはメイフェアでもメディアやファッション業界の通が好む豪華ホテルの一つ、クラリッジのクラリッジ・サークルから始まった。

ラリー・Gがこの超高級エリアでグロブナー・ヒルに作ったのは、どこか控えめな、しかしながら重厚感のある、入り組んだ暗色の木の床だった(「リチャード・セラのコルテンイ鋼の彫刻ならこれに似合うだろうか?」「No」だろう。)。開会の展示は故サイ・トゥオンブリによる「見えないバッカス」(2006-2008年)のシリーズで、彼の赤珊瑚の粒は未だとても鮮やかで、ショウのハイライトと言って間違いなく、純粋に感動的だった。

もう一つの、待望のオープニングはサウスロンドンにダミアン・ハーストが所有する、ニューポート・ストリート・ギャラリーで行われた彼のプライベート・コレクションの展示だった。まずはイギリスの抽象画家ジョン・ホイランド(1934-2011年)。そして、ロンドンといえば、これまでの大物や伝説的、偶像的人物やそれに続くカルト的な人物の名前を出すときりがないが、幾つかの例を挙げるとすれば、サーペンタイン・ギャラリーのジミー・ダーハム(若き日の伝説、アンリ・サラが登場する「幸福の追求」を見る機会があった)、マリアン・グッドマンでのウィリアム・ケントリッジ、ヴィクトリア・ミロでのカラ・ウォーカー、ブレイン/サウザンでのビル・ヴィオラ(今まであまり展示されることがなかった初期のサウンド・インスタレーション作品で、ソーホーの地下駐車場で彼が作り上げた「しゃべるドラム」も紹介した)など、冗談抜きに、見逃せない大作ばかりなのだ。

entrance of F.london
ルッツ・バッヒャー「煉獄へようこそ」 Frieze Projects 2015, Frieze London 2015 Photo: Plastiques Photography

ショウの紹介を続けよう。13年目を迎えたフリーズ・ロンドン2015は「煉獄へようこそ」というスローガーンで幕を開けた。真っ黒なエントランスホールには落書きされたようにそのスローガンが書かれていた。ニコラ・リーのキュレーションによるフリーズ・プロジェクトの一部で、ルッツ・バヒャーによる作品だ。どこか、10代の若者がナイトクラブに出かけるときのようなほろ苦いドキドキを感じさせる、素敵なスタートだ。そして中に入ると、おなじみのシーンが広がる。2人の白いドレスを着た少女が手をつないで歩き、何かを囁き合っている。ふと彼女たちの長い髪の毛に目を留めると、まるで普通のことのように、それは床と一体化している。ブラジル人アーティスト、チュンガによる詩的パフォーマンス「シャム髪の双子」(1987年)のリメイクである。

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