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アイ・ウェイウェイ「アット・ラージ 」

HAPPENINGText: Fuyumi Saito

そしてアルカトラズ島の中でも一番広い刑務所棟では、「ステイ・チューンド」「イルミネーション」「ブロッサム」「ユアズ・トゥルーリー」の展示を見る事ができる。

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“Stay Tuned”, Photo: Alison Taggart-Barone, Parks Conservancy

狭く窓のない牢獄の各個室から、スピーチが聞こえてくる。時には歌も。このサウンド・インスタレーション「ステイ・チューンド」では、中国からの独立を訴えるチベットの詩人・ロロや、プーチン政権へ反対するロシアのフェミニスト・パンクバンド「プッシー・ライオット」、アパルトヘイト時代の南アフリカで活動した「ロベン島・プリズン・シンガーズ」など、その創作活動や信仰から国や政府に拘留されたアーティストや活動家の詩や歌、スピーチを聞くことができる。薄暗い個室に入り、ポツンとおかれた椅子に座り、または立って、壁を眺めながらその声を聞く。 牢獄の中で、彼らは孤独だったのか、それとも強い信念とそれを支持する人々を思い力強くいたのか…。想像を巡らせてみることができる。
 
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“Illumination”, Photo: Alison Taggart-Barone, Parks Conservancy

かつて刑務所内の病院だったフロアは薄暗く悲壮感が漂う。この中でも、精神病者が監禁されていたという部屋は照明がなく厚いくもり硝子から外の光が鈍く入ってくるのみ。この空間でのインスタレーション「イルミネーション」では、ダライ・ラマに近く仕えていた僧によるチベットの歌や、ネイティブアメリカンの音楽を用いて、文化や政治で抑制された人々へのオマージュを表現する。息の詰まるような監禁部屋の中で、歌うことだけが救いであり、精神的な支援であり、文化的アイデンティティを保守する唯一の光だったのかもしれない。

Blossom.jpg“Blossom”—in this work Ai Weiwei quietly transforms the utilitarian fixtures in the Hospital into delicate porcelain bouquets. Photo by Ryan Curran White, Parks Conservancy
“Blossom”, Photo: Alison Taggart-Barone, Parks Conservancy

入院中の囚人達が使用していた便器やバスタブ、流しに溢れるように入っている花からなる「ブロッサム」。これはいくつかの病棟や医療オフィスから調達して来た磁器素材で作られている。花はセラミックで上塗りされ、ここでもアイは中国の伝統技術のイメージを用いている。但し、それはその技術に対する崇拝というよりは、入院中の囚人達に、現実には手向けられることのなかった見舞のブーケとしてのシンボルだという。冷たく、砕けやすい花々は中国で1956年に起こった有名な政治活動、百花斉放(ひゃっかせいほう:表現の自由を政府に認めさせるものだったが、運動はすぐに反対派により取り締まりを受けることになった)への皮肉的な表現でもある。

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